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十五才 学校 IV

2000年、松竹+日本テレビ放送網+住友商事+角川書店+博報堂、 朝間義隆 平松恵美子脚本、山田洋次脚本+監督作品。

この学校シリーズ、社会的弱者やハンデのある人たちをドラマに登場させる事で、現代社会の問題点や今を生きる人間の心の有り様などを浮き彫りにする…という発想から作られているのだろうが、この発想自体が陳腐というしかない。
そうしたアプローチは、むしろ、テレビのドキュメンタリーなどの手法の方が相応しく、説得力もある。
わざとらしいドラマ仕立てにして、観客を泣かせながら啓蒙しよう…などという狙いは、大衆が劇場に押し寄せていた映画黄金期の発想ではないだろうか。
それはともかく、そうした「あざとさ」「臭さ」で鼻持ちならなかったシリーズ1作目に比較すれば、2作目以降は、いくらか映画としても観賞に耐えるレベルになったのではないかと感じる。(単にこちらが慣れてきたせいかも知れないが)
4作目の本作は、「幸福の黄色いハンカチ」同様、ロードムービーの様式を取り入れた事、少年が主役になっている事などが割と成功しており、観ていても、さほど「嫌み」には感じられない。
特に、後半の「バイカルの哲」(丹波哲郎)が登場してからは、エピソード自体はあざといながら、ユーモアも適度に混ざり、山田洋次監督らしいキャラクター作りのうまさが少し出ていたように思える。
メッセージ丸出し…という、このシリーズの性格自体を受け付けない人は大勢いるだろうが、それを許せれば、この作品自体は、シリーズの中でもましな出来の方だと思える。
さすがに、劇場にまで足を運びたい…とは思わないが…。