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ガス人間第一号

1960年、東宝、馬淵薫脚本、本多猪四郎監督作品。


銀行強盗を追跡していた岡本警部(三橋達也)は、横転した犯人の車から消え失せた犯人を捜す内に、美しい日本舞踊の家元、春日藤千代(八千草薫)のわび住いに行き当たる…。
没落しているはずの藤千代は、何故か最近、急に金回りが良くなりだし、大掛かりな発表会を目標に、毎日稽古に余念がなかった。
前半は、不可解な銀行強盗事件を捜査するミステリー仕立てになっているが、途中から怪奇空想もののタッチに変化していく。
事件に右往左往する新聞記者、警察らのエネルギッシュな動きと、人里離れた一軒家にじいや(左卜全)とつましく二人暮らしをしている藤千代、さらに孤独な図書館員、水野(土屋嘉男)の静的な存在の対比…。
全体的に地味な印象の作品ながら、後半、幸薄い二人の男女同士が到達した「禁断の愛」の結末に、特撮が印象的に使われており、余韻を深めるのに貢献している。
いわゆる「変身人間」シリーズの中でも、名作だといって良い作品だと思う。
ちなみに、近年の金子修介監督作品「クロスファイア」のクライマックスは、この作品へのオマージュではないだろうか。


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