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エスパイ

「日本沈没」(1973)のメガヒットを受け、「ノストラダムスの大予言」(1974)に次いで製作された東宝映像作品。
小松左京の原作自体がさほどの傑作というものではなかったのに加え、製作条件も厳しくなってきたせいか、SFアクションというよりは、むしろ石原軍団のテレビドラマ「大都会」とか「西部警察」などに近い、「実写版劇画」みたいな作品になっている。
絵で例えれば、Gペンでぐいぐい描きこんだような、当時の藤岡弘や草刈正雄の濃いキャラクター(髪型&ファッションも含め)、それに由美かおるのお色気サービスとバックに流れるムード歌謡曲…。(何故にサイキック・アクションに歌謡曲?)
それでも、一応、海外ロケらしきシーンもあり(おそらく、風景だけ別班が撮りに行き、役者たちは、国内のそれ風な場所で撮って、両者をうまく繋げているのだと思うが…)、「ゴルゴ13」(1973)の高倉健同様、藤岡弘もトルコでベリーダンスを眺めているシーンあり。(両作品の製作時期が近い事から考えると、当時、トルコの観光誘致があったのでは?)
後半には、結構見ごたえのあるセット倒壊シーンなどもあるのだが、全体としては、アクションものとしても、特撮ものとしても、SFものとしても中途半端な印象に終わってしまっているのが惜しまれる。
悪役エスパーのボス、ウルフを演ずる若山富三郎のキャラクターが異色!