1959年東宝作品。
岡本喜八監督が戦争を素材にしながらも、徹底したエンターテイメントに仕上げた痛快活劇。
毎朝新聞の荒木を名乗る不思議な男が馬にのって、将軍廟という北支の山岳地帯の街を訪れる。
その街では、頭が少しおかしくなった大隊長（三船敏郎）や、中国のスパイを慰みで銃殺している副官（中丸忠雄）ら日本軍が駐留していた。
元看護婦で今や従軍慰安婦になっていた工藤トミ（雪村いずみ）は、偶然出会ったその新聞記者が、以前結婚を約束した大久保軍曹である事に気付く。
大久保は、弟が中国人女性と心中したという噂を聞き付け、その真相を探るために憲兵隊を脱走したのだった。
心中事件は、各部隊の「くず」ばかりを集められて、最も敵陣深く侵入させられていた「独立愚連隊」という風変わりな部隊で起こったという。
主役大久保を演じているのは佐藤允で、戦争映画なのに、始終ニコニコ笑っているキャラクターであるのがまず異色である。
しかも、拳銃使いの名手であるという、娯楽ヒーローの典型的なキャラクターとして造型されており、独立愚連隊ののんきなメンバーたちと共に、この作品が「戦争」を皮肉った内容であるのに気付かされる。
物語中盤までは謎ときサスペンス風に展開し、クライマックスでは、小数の愚連隊メンバーと数百人の中国軍との壮絶な戦闘が用意されていて、見せ場にも事欠かない。
全編、アイデアに満ちあふれ、登場するキャラクターたちの造形も各々面白く、最後まで飽きずに楽しめる。
良質の痛快娯楽作品で、この作品の後、シリーズ作品が何本も作られた。
 独立愚連隊西へ 【DVD】 |