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大冒険

クレージーキャッツ結成10周年記念、1965年、渡辺プロ&東宝映画。
アパートの隣同士に住む、元体操選手のトップ屋(雑誌記者)植松(植木等)と発明家の谷井(谷啓)が、ひょんな事から謎の偽札偽造団に誘拐された谷井の妹、悦子(団令子)を助け出そうとする一方、彼らを犯人と誤解して逮捕しようとする刑事たち(ハナ、石橋、犬塚)の三つ巴の追っ掛けを描いた、特撮冒険コメディ。
とにかく、話のテンポが良く、途中から、アクションに次ぐアクションの連続で、歌とギャグ満載の「和製インディ・ジョーンズ」とでもいいたいような痛快劇になっている。
数あるクレージー映画の中でも傑出した面白さを誇り、海外市場を意識した大掛かりな設定や数々の美術セットは、今では信じられないほどの豪華さで、絶頂期の邦画の底力を見せつけられるような力作というしかない。
首相役に森繁や、悪役に越路吹雪など、意外な顔ぶれも楽しく、このシリーズにありがちな展開のもたつき感も少ない。
バイクに乗った植木が、埠頭でそのままジャンプしてコケるシーンなどで、捨て身のスタントを努めているのは、当時の付き人だった小松政夫である。
この作品で特質すべきは、物語後半であろう。
その展開は、どう観ても、後年、ルーカス&スピルバーグによって作られた「レイダ−ス/失われたアーク」そっくりなのである。
偶然の一致というには、あまりにも似過ぎている。
海外用に作られた…という本作の性格から考えても、世代的に若き日のルーカスがそれをどこかで目にした可能性はかなり高いように思えるのだが…。
真偽のほどはともかくとして、そうした観点から観てみても、十分に楽しめる作品といえるだろう。
紛れもない、邦画の傑作の一本!