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アトランティス/失われた帝国

某日本製アニメのパクリではないか?…との疑惑騒動で、話題先行の感があった作品だが、観た感じは「そういう事以前の凡作」だと感じた。
おそらく、宮崎アニメあたりに心酔して、そういう冒険ものを作りたがった向こうの若いスタッフが、ハリウッド流のノウハウを駆使してまとめあげたのだろうが、結果的には、宮崎アニメの根底にある情緒面や、細やかな演出を学び損なっているために、表面的な相似性はあるものの、本質的には似ても似つかぬ大味な活劇にしかなっていないのが哀しい。
何よりも、肝心の「アトランティス」の風景や人物達が、ちっとも魅力的に描かれていないのが致命的というしかない。
「地球の頂上の島」(1973)とか、「ブラックホール」(1979)あたりの作品もそうだったのだが、ディズニーの冒険ものは、「ファミリー路線」という事もあってか、どこかイメージが凡庸で、展開も退屈なのだが、今回もそのそしりを免れない作品になってしまったように感じる。
同じヴェルヌの原作を元にした「海底2万マイル」(1954)とは、実写とアニメという表現上の違い以上に、観客への「想像力を刺激させる演出力」に落差を感じざるを得ない。
3DCGの動きの使い過ぎも、著しく、画面からアニメ独自の豊かな情感を減じてしまわせた要因だろう。
ユニークなキャラデザイン、面白いメカの数々、モンスターやスペクタクルは数々用意されているにも関わらず、これほど「ワクワク感」や「爽快感」に乏しい冒険ドラマも珍しいのではないか。
従来のディズニー色とはひと味違ったものを…という意欲は買うものの、もっと基本的な部分からの勉強が必要だと思われる。
まぁ、最近の量産型ディズニー作品に見慣れた目には、この作品も平均的な出来…というべきかも知れないが…。