2006年春

2006年4月20日 小さな先住者

庭をいじりすぎて
いつも当たり前のように咲いていたカタクリも
去年はあまり見かけなかった
このままなくなってしまうのかと心配してたら
ちゃんと出てきてくれた
たった一つの花しかついてないけど
たった2枚の葉しかついてないけど
降り積もった枯れ葉の中から
すっくと立ち上がる
ここはわたしの場所
他のものに邪魔させないで
そう訴えているような小さな姿
ごめんね
こうやって何十年もここに咲いてきたのに
他のどんな花よりも先に住んでたのにね
2006年4月25日 スプリングエフェメラル

春の妖精という名の花たちがある
待ち焦がれた春を告げる花
新緑の頃にはすっかり姿を消してしまう
儚い けれども
はっとするほどの美しさで輝く小さな花たち

カタクリもそのひとつだけども
わたしには この花がスプリングエフェメラル
一茎に一つの花しかつけない
凛とした 純白の 一輪草 
2006年9月3日 小さな宇宙

何が気に入ったのか
いつからいるのか
気がつけば水道管の上にいる
何週間もここから動かない
生きてるの?とつつけば
煩いなあと言わんばかりに
わずかばかり顔をあげ
好きでここにいるんだ
ほっといてくれ
にらみつけては また目を閉じる
いつからそんな色になったんだろう
水道管の色したカエル
外にはもっと開けた人生(カエル生)があるのに
と思うのも余計なお世話かい
そうだね
誰から束縛されてるわけでもないもんね