2000年

小さな雪柳 2000.11.29.  間違えた雪柳

いつのまにか冬。
花も何もなくなった冬枯れの庭に、ポツリと見つけた雪柳。
春にあふれんばかりに咲き誇るさまは雪のよう。
なのに、雪のまだない初冬、
雪柳などという名前に程遠い寂しげな姿で現れた。
花自身も、きっと場違いな居心地の悪さを感じてるに違いない。
寒いね、寒いよ。
間違えちゃったね。間違えたよ。
ぶるぶる震えながら、北風にその姿をさらし、
でもほんのすこーし、春を覗かせてくれたね。
雲の王国 2000.11.30.  雲の王国

夕暮れどきは、見慣れた景色をまるで別なものに変えてしまう。
ちいさい頃、あの雲のうえには、すばらしい別の国があると信じてた。
夢の国は雲の上にあるのでなく、
自分自身で作らなければならないと気づいたときに、
何かをなくしたかもしれない。
イカの刺青 2000.12.5.  イカの刺青

今朝獲れたばかりのマイカ。
威勢よくワタを抜いて、よく見たらば、あらなんか模様がある…。
きっと傷がついたのだろうが、なんだか、子供の悪戯描きみたい。
なんとなく可笑しくて、つい、抜いたワタを戻して、
元の姿に戻してあげました。
でも写真を撮ったら、すぐに皮はぺリりと剥がされ、
すぐにお刺身になりましたとさ。
万両 2000.12.11.  万両

4年前、小学校を退職なさった校長先生が、ご自分で種から育てた万両を、全校児童にくださった。
小さな苗だった万両が、4年立ち、こんなに実をつけるまでに大きくなった。
長男のはひょろ長く、次男のはどっしりと、
同じように育てたのに、それぞれ違うように育っていく。
もらった子らも、それぞれ違うように育っていく。
去年まで、室内で育てた。
今年は、寒風にさらし、自然のままにまかせよう。
さて、子らは?
林道 2000.12.17.  どこまでもこのまま

家のそばの杉林に、数年前舗装道路ができ、狭いけど車で通れるようになった。
この山道を怖いという人が多い。
夜などとても通れないと。
私は、この道が好き。
誰もいない、何も見えない、ただ木々ばかり。
行き交う車もめったになく、まれに、リスやキツネがパッと横切る。
国道の雪が消えても、いつまでもまっさらな白さで、どこまでも続く。
バージンロードのように。

music by Sora Aonami