乙女の叫び


これは、とあるセッションで、
とあるマスターの罠にかかった、愚か者の話である。


その帝国の首都では、皇帝の生誕祭を行っていた。

生誕祭で行われるイベントは、
料理大会というものであった。

一流の料理人だけでなく、一般人から腕に覚えのある者も参加するイベントだ。

傭兵として契約が切れたので、
休暇と称して首都に行こうということになった。

目的はただ一つ、旨い飯である(爆)

各所で料理が作られ、それを生誕祭に参加している人間に配っている。

宿に辿り着くまでに、ウマー飯を道すがら手をつけていく。

宿に着いた頃にはいい具合に腹にものが入っている、しかし
勢いは留まるところを知らない。

そしておもむろに、
食い倒れに街にくり出したのである。


食い倒れ寸前になりながら、街を練り歩いていると路地に入る曲がり角付近でそれは起こった。


「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」


突然、曲がり角の向こうから、
絹を引き裂くような女性の悲鳴が耳に届く!

マスターの短い説明が終わり決断を迫られる、
「さあ、どうする?」

それを聞いて
即座に危険信号が灯る、これは何かの陰謀だ!


それを裏付ける
マスターの目


まるで
絶世の美女がカモン、カモンと手を振っている様な、そんな目をしている。

なぜだ、なぜこのような時に自分は
ファリスの神官戦士をしているのか!

自分が
神官戦士だと考えたとき、ふと脳裏をよぎる予感

まさか俺は
謀られたのか?しまった、やられた!

そして、おもむろに曲がり角に向かって
走り出す。

正義に萌える
燃える神官戦士自らの信じる道をただ走る。


その目には
涙が溢れていた、キラキラが後に流れる。


武器を持ち
戦闘に備える、「さあ、どう来る?」

角を曲がった時に、自分の
想像を絶した出来事が起こった。


曲がった瞬間の視界にあるのは
今まさに自分めがけ振り下ろされる角材!


あれ?5、6人のチンピラは?


スリープクラウドは?


ボコられて気絶させられて運ばれるんじゃないの?


って言うか、
なぜ女性が角材を持って、あまつさえ振り下ろしているの?


GED「マスター、避けられますか?」

マスター「う〜ん無理だね、
とりあえず気絶して。


コング・ルールですか!

しかも気絶の判定なし。


さすがコング・ルール!こうでなくてはならない。


気絶した私を
運び去る女性、一歩遅れて曲がってきた仲間たち。

私を奪還しようとする仲間たちはそこで気づく、
チンピラが妨害している事を。

どこからか沸いてくるチンピラに阻まれ
女性は逃亡、仲間は戦闘に必死だ。

そして

気が付くと、
熱い液体に入れられている自分を発見。

状況を確認しようと辺りを見回す。

どうやら
馬鹿でかいのようなものに入れられているようだ。

5、6mほど下の方で、轟々と火が猛っている。


何か?俺はダシなのか?


隣には自分と同じように
ダシを採られていたであろう、死体がいくつか。


ヤバイ、こんなにはなりたくない!


鍋から出ようとすると、
長い棒を持った女性つつかれて落ちる。

女性「出させる訳にはいかないわ、あなたは
大切な材料なんだから!」


やっぱりダシですか!


這い上がろうとするたびに
棒で落とされ、熱さで意識が朦朧としてくる。

その時、ドアを蹴破り仲間が雪崩れ込んできた。

下の方でチンピラとの戦闘が始まる。



仲間「お〜い、大丈夫か〜」


GED「もう駄目そう」




マスター「どうする?このままだと意識失うよ、ついでに女性も攻撃してくるけど?」

女性の健闘著しくかなりダメージを受ける、慌てて鍋の端の方に待避する。

マスター「このままだとダシになるかもしれんね」

「むう、
このマスターならダシにしかねんな」と考え、必死に脱出方法を健闘する。

這い上がろうとすれば
ダメージ、飛び降りれば戦闘に巻き込まれる。


いや、最悪として華麗に火の中にダイブ!


ダメージを恐れて鍋に留まれば
ダシになる、かといって死んでもダシにされる


キャラシーをめくる、
あと少しで逝きそうだな。

そして、魔法表に目を移した時、
神の一手が降臨した(様な感じ)


GED「マスター、
魔法は使えますか?」

マスター「プリーストでしょ、
使えるよ

GED「じゃあ、
ヒート・プロテクティブ・サークルを使います」

マスター「(魔法表を見て)ダメージ減少か、じゃあ
少し温くなったよ」

GED「ふ〜、助かった〜!」

まさか
こんな事に、この呪文を使おうとはにも思っていなかった。

その頃、下ではまだ戦闘が続いていた、存外に苦戦しているらしい。

危機は脱した、しかし鍋から出ようとすると
つつかれて死ぬかも知れない。


よぅし、ここは援護してあげよう!


思い立ったが吉日、
援護と称する熱湯頭上から降り注ぐ

GED「わははは、それそれ熱かろ〜てー!」

意外な
接戦と言う緊張状態に更なる混乱を呼び込むGED、もう止まらない


GED「く〜、いい湯じゃ〜!」


自分の
立場を忘れてゆったりとくつろぐ。

戦闘も終わり、救出されてから女性に事情を聞く事にする。

女性「料理大会に出品する料理の準備なんです。」

料理のために人を殺すんかい!

優勝のために人を角材で殴るんか!


あらゆる意味で飛び抜けた女性に呆然。

とりあえず、御用となったとさ。


ちなにみ優勝は
「クラーケンの活け作り」

皇帝の前に出されると、即座に
皇帝に襲いかかったのだが


皇帝が瞬殺!


そのまま
食したのでした。


皇帝恐るべし!

2001/8/22記録

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