スーパーフック
ゲームセンターには魔物がいるという話を聞いたことがあるだろうか?
馬鹿にするかも知れないが、魔物は確かに存在する。
こんな事がなかっただろうか、気がつくと財布の中身が無くなってい・・・ごほっ、ごほっ
今回はそんな魔物が住むゲーセンの話。
ダライアスというゲームを知っているだろうか?
ある意味で国民的なゲームであるので、説明は不用だろう。
そしてダライアスに挑戦し、自らの意図に寄ることなく儚く散った者の逸話である。
その日、モナカはゲームセンターでシューティングゲームをしていた。
言わずもがなダライアスである。
3画面・大音量BGM&効果音に身を委ね、ただひたすらにクリアに近づいていった。
そんな時、後ろからとある会話が聞こえてきた
男1「お!、パンチングゲームじゃん、久しぶりにやるか」
男2「おまえに記録が出せるのかよ?」
男1「ふん、甘いな!まぁ見てろ」
チャリーン(コイン投入の音)
男1「俺のフックを見せてやる!」
モナカの後ろで事態が進行していく。
それは本能なのか、常に会話を聴き、弾幕をかいくぐり、ふと後ろを振り返るモナカ。
そのパンチングマシーンは少し型が古いもので、バックがせり上がってくるタイプではなく
ボクシングジムにある、腕を上げてダムダムってする奴(名称不明、なんて表現だ)
にそっくりなのだ。
それにフックを叩き込もうとしている奴がいる。
しかも全力で!
連れの男が固唾をのんで見守る、モナカも注目している。
ダライアスのステージQでこんな事が出来る奴は稀であろう。
そして運命の時はきた!
男1「おぅりゃ〜!!」
ドカッ!
カッタッカッタッカッタ!
男1「ぐお〜!!」
男はその場にしゃがみ込み、右手を頭より高く掲げ叫んだ!
その頭上では衝撃冷めやらぬバックが左右に揺れている。
カッタッカッタッカッタ!!
ある一部のパンチングマシーンは衝撃センサーがバックの真後ろにあり
衝撃を伝達させる手段としてレールを使っていたものがあるのを知っているだろうか?
そしてこのレールは構造的に後ろにしか駆動しないのである。
衝撃を受けたバックは運動エネルギーを得て、レールを伝い衝撃センサーにぶつかる
筈であった。
カッタッカッタッカッタ!!!
騒音に支配されているゲーセン
当時、その王座に君臨していたダライアス筐体に負けることなく
寂しい光景を強調する効果音が周囲に響き渡る。
連れが大爆笑、モナカも控えめに爆笑している。
モナカ「(おかしいコイツ、馬鹿だ!)」
ドーン
モナカ「え!?なに?」
次の瞬間、格段に武装が喪失した真っさらなシルバーホーク号を見て愕然としたという。
モナカ「ぐぁ!俺の努力が一瞬で!」
この時の心境をこう語る
モナカ「グラUの最終面で死んだ時なみにショックだった」
モナカ「つ〜か、アイツがいけないんだ!アイツがいなければ死なずにすんだんだ!」
真っさらなのシルバーホーク号で、勝利する術は無かった。
一言:余所見すんな、シューティングで(笑)
2001/6/21記録