呑み屋の群像その1/緋牡丹お竜か
2000.04.02
 3月31日、晴れて退職=失業……。
 ○○○も○○○○○ないような(伏せ字は自主規制)職場に未練はないが、こんなたわけ者を選んでしまった連れ合いが不憫なので、ありがとうの意を表すべく、近所に呑みに行った。
 一軒目は魚がおいしいかもしないということで入った居酒屋。ちょうど季節だし、歓送迎会のような団体さんが座敷を占領していたのだが、他に客はカウンター席に一人だけ。金曜の夜といっても下町なんてこんなものだ。
 で、そのカウンターの一人客なんだけど、小柄で痩せ形、作業着を着ているが職業不詳、ついでに年齢も不詳、なおかつスキンヘッド。そんでもってビールのつまみは「青と(ししとう)」だけ。そのひと皿だけでゆっくりとビールを飲んでいた。
 我々は、彼の流儀に感動した。たったひと皿、そのひと皿がたとえば焼き鳥なんかだったら別に驚かないが、それが「青と(ししとう)」なんですねえ。これはカッコいいです。
 じっくりと時間をかけてビールを飲み干した彼は、どうやら常連さんらしく、明るい声で勘定をすませるとサッと出ていった。店のおばさんは、彼のことを「青山さん」と呼んでいた。
 ここで一気に脈絡はなくなるのだが、「青山さん」といえば緋牡丹お竜。いいですねえ。


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