呂布
 急に外が騒がしくなった。洪水の魔法がもたらした大量の水が回廊にまで溢れ出し、騒ぎを聞きつけた敵兵 が集まってきたのだ。

 こうなっては外を見張っていた曹操の配下達も苦戦を強いられる。 (呂布)「これは何事か!」

 さらに悪いことに呂布が駆けつけて来た。
 彼の出現によって、回廊での戦いには一応の決着がついてしまったようだ。

(董卓)「おお、呂布か! 助けてくれ! ワシは泳げないのだ!」

 近くにあった樽にしがみついて必死に溺れるのを防いでいる董卓が叫んだ。

(呂布)「おお、父上! 何と言う醜態……」

(董卓)「何をしておる! 早く助けに来ないか!!」

(呂布)「しかし、水の流れが速く、とても室内に入ることができません!
どうか、赤兎馬のある場所をお教えください!」

(董卓)「赤兎馬ならば、この部屋の入り口近くにある開き扉の中だ!」

 呂布はニヤリと微笑んだ。そして、濁流の渦巻く室内に単身、身を投げた。

(董卓)「おお、赤兎馬などなくても大丈夫ではないか。呂布よ、早く来てくれ!」

 しかし董卓の言葉を無視し、流れに逆らい、呂布は開き扉のほうへ向かった。彼ならではの芸当である。

(呂布)「おお、これが幻のアイテム、赤兎馬か! こんな場所に隠しておって!」

(董卓)「何をしている、呂布よ! 早く私の所こないか!」

 呂布は、険しい目付きで董卓を睨みつけた。

(呂布)「はい、今すぐ」

 彼は赤兎馬にまたがった。すると彼の体に赤兎馬がめり込んで行く。

(呂布)「ぐわぁぁぁ! こ、これは……!」

 まるで神話に出てくるケンタウルスのようであった。呂布の体と赤兎馬が融合していく。しかし完全ではないようだ。

相当の痛みを感じているらしい。

 呂布は、流れの中を董卓のほうへ向かった。

(董卓)「おお、早く、早く助けてくれ、呂布よ」

 しかし、彼は思いもしない行動に出た。なんと董卓の前まで来た彼は方天画戟を振り上げたのである!

(董卓)「き、貴様、まさか……!!」

(呂布)「赤兎馬が手に入った今、もはや貴様に用はない!」

 彼は方天画戟を振り下ろした。董卓の首は蹴飛ばされたボールのように宙を舞うと、回廊に落ちた。

 回廊にいた兵士達は董卓の首を見て恐れおののき、堰を切ったように逃げ出していった。

(呂布)「グハハハハハッ!! やったぞ、遂に赤兎馬を手に入れたぞ!! これで俺は無敵だ!!」

 悪鬼を殺した悪魔は、子供のようにはしゃいだ。
 そしてあなた達を見た。

(呂布)「お前達は運がいい。 今日は機嫌がいいから見逃しといてやろう! しかし次会った時は命がないと思え!」

 そう言って部屋を飛び出していった。

 あなたたちは水が引くのをただただ待った。

 やっと水が引いた頃、県令の陳宮という男がやってきた。

(陳宮)「先ほど、赤兎馬に乗った呂布を見たが、あれはいったい……」

(劉備)「我々が董卓を追い詰めたとき、呂布が董卓に止めを刺し、赤兎馬を奪って逃走したのです」

(陳宮)「……おお、何と言うことだ……。赤兎馬は強力な融合アイテム。もし豪傑呂布と完全に融合してしまったならば……」

(劉備)「……どうなるのですか?」

 陳宮の答えは明確だった。世界中で唯一の絶対悪魔になると彼は断言した。その力は、魔王霊帝に匹敵するという。
 ただし、赤兎馬と人間が完全に融合するためには、短くても3日はかかるという。赤兎馬もまた、融合する人間を選ぶからだ。

(劉備)「それでは完全に融合する前に、呂布を捕らえる必要があるのですね」

 あなたの質問に陳宮は頷いた。

 こうしてあなたの次の冒険は決まった。あなたは3日以内に呂布を見つけ、そして倒さなければならない。

 もし手遅れになったならば、全世界の破滅するところをその目で見なくてはならなくなりそうだ。

 あなたは新たなる旅路への準備を始めた。

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