レアメタルを効率採取、海底から

2012年4月のニュースより。

海洋研究開発機構は、沖縄近海で水深約1000メートルの海底に人工的に穴を掘って熱水を噴出させ、工業原料として重要なレアメタルや貴金属を効率的に回収する実地試験に成功した。
レアメタルの主要産出国である中国が戦略物資として鉱物資源の輸出管理を強化する中、日本周辺の海底鉱床の開発に役立つ成果として期待される。

太陽電池の材料に利用されるテルルやビスマスのほか、金、銀などを豊富に含んでおり、『熱水噴出孔』を人工的に掘り、船上からチムニーを回収する今回の技術を組み合わせれば、これまで開発が困難だった鉱床も資源化できる可能性が高まっている。

昨年には、希少金属(レアメタル)の一種「アンチモン」の鉱床を、岡山大や東京大などのグループが鹿児島湾の海底で発見した。その埋蔵量は、国内の年間販売量の180年分と推定される。

毒性が強いために採掘技術の開発が必要であるものの、これだけのレアメタルが埋蔵されているとなれば、今後開発は急ピッチに進むだろう。アンチモンは、繊維を燃えにくくする難燃剤や半導体などに広く使われ、日本は95%以上を中国から輸入しているため、これを国内で供給できれば政治に左右されない安定供給が期待できる。

ちなみに、 鉱床が見つかったのは、2003年に気象庁が「活火山」に指定した若尊(わかみこ)カルデラの一部。桜島の北東約5キロの鹿児島湾内にあり、約2万5千年前に大噴火した姶良(あいら)カルデラの主要火口という。07年に約200度の熱水噴出孔を発見した山中寿朗・岡山大准教授(地球化学)らが、付近の鉱物を調べていた。

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