ペットボトルをペットボトルに完全循環リサイクル

2011年12月のニュースより。

東洋製缶グループは、使用済みペットボトルをペットボトルにリサイクルする循環型事業を強化しており、今年2月に味の素ゼネラルフーヅ(AGF)のペット入りコーヒーのほぼ全商品で採用されることになった。

飲料メーカーで再生ボトルを導入しているのはAGFやサントリー食品インターナショナルなどに限られてはあるものの、国内のペットボトルリサイクル率は2010年度で84%近くにのぼり、欧米諸国と比べても高率であるため、循環型リサイクルが定着すればさらなる拡大が期待される。

東洋製缶グループの「ペットリファインテクノロジー」(川崎市)は、2008年6月に自己破産したペットリバースから事業を継承、現在では国内で唯一、ペットボトルの「ケミカルリサイクル」を手がけている。
使用済みペットボトルは市町村などで回収された後に洗浄、粉砕されて数ミリメートルの粒状の「PETフレーク」となる。従来の手法ではこの後、主に卵パックや食品トレーにリサイクルされていたが、ケミカルリサイクルはPETフレークを再生工場に持ち込んで化学的に分解。さらに、化学反応によってペットボトル原料となる樹脂に再加工する。分子レベルまで分解するため、飲み残しなどの汚れが完全に除去されることが確認されている。

この方法であれば半永久的にペットボトルからペットボトルを再生することが可能と見られる。同社の年間約2億5000万本のボトル入り飲料を販売しているが、来年12月までに順次、再生ボトルに切り替える。これにより、原料となる石油使用量を年間60%削減できるという。

課題はコストメリットが得られるかどうかだが、石油は今後も価格が上昇していく可能性が高いうえ、輸入に頼っている日本にとって、必要不可欠な技術と言えるだろう。

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