師走の風景
 今日、近くのホームセンターに行った。店先には園芸商品やベニヤ板が並べられていたが、その一角の テントの下では、石油ストーブが激安特価の札をぶら下げて置かれていた。
 そして新婚だろうか、肩を寄せ合ってストーブの品定めをしているカップルが……。

 僕はこんな風景が大好きだったりする。そして当然のごとく、みゆきさんを連想してしまう。

(崔州平)「今年ももうすぐ冬だね」
(みゆき)「うん」
 手袋をしたまま、みゆきさんは僕のコートのポケットに手を突っ込んでくる。
(みゆき)「わーストーブだ」
 にこにこしながら微笑むみゆきさん。ボーナス一括払いOKの札をぶら下げた石油ストーブに瞳をきらきらさせる。
 二人して近づくと、火がついているわけでもないのにちょっとあったかい気がした。
(みゆき)「いいなぁ」
 白い息を吐くみゆきさんの横顔が肩のあたりにある。黄色い紙に殴り書きされたマジックの文字は、贅沢品 だった石油ストーブをちょっとだけ身近に感じさせるものだった。
(崔州平)「ばか、おれたちのあの狭い部屋なんかで使ったら、暑くて窓を開けなくちゃならなくなるぞ」
 僕のジョークにみゆきさんは、"へな"、とした目をして「そうだね」と答える。でも歩き出す直前までみゆき さんの目が石油ストーブを見ていたことに僕は気付いていた。

 みゆきさんは僕のコートの中にもぐりこんで来て、
「これで今年の冬も越せそうよ」
と笑顔。そんな愛くるしいみゆきさんのために、ちょっと無理してしまおうかと思う崔州平……。
(崔州平)「今年の年越し蕎麦は油揚げ一枚しかのらなくてもいいかい?」
 不意な質問にみゆきさんは目を丸くして僕を見るが、にこりと笑って一言。
(みゆき)「いいよ」
(崔州平)「来年のおせち料理はかまぼこだけになるけれど、それでもいいかい?」
 みゆきさんはニコニコしながら僕に頬を寄せ一言。
(みゆき)「いいよ」
 僕はちょっと深呼吸してから独り言のように一言。
(崔州平)「来年僕が買おうと思っているダイヤの指輪も小さくなっちゃうけれど、……それでもいい?」
 今までで一番自信なげな僕の口調に、みゆきさんはとぼけた顔をして一言。
(みゆき)「いいよ」
 そして満面の笑顔。僕の気持ちは固まる。
(崔州平)「よし、じゃ、行くか」
 僕がみゆきさんの手を引く。
(みゆき)「え?、どこへ!?」
(崔州平)「もちろん、ストーブを買いにさ」

な〜んて事を考えて一人にやける崔州平!!(爆)
 ちなみに時代は「同棲時代」がもてはやされた1970代。町のいたるところからフォークが流れてくるあの時代!!
 沖縄返還ありーの、石油ショックありーの、ロッキード事件ありーのといったあの時代!!

 僕はどうしても恋愛感がその頃になってしまうのよねぇ……。貧乏だけど幸せだい! ってちょっと哀愁を漂わせながら でも町は経済成長に酔いしれている。うん、こんな時代に青春を迎えたかった……。
 年端もゆかぬ僕が見あげていた1970代です。ああ、恐ろしや、幼児体験(笑)

 さて、それでは本日はこれにて。
 この間テープに録音したみゆきさんのラジオの笑い声を聞いていて、

「喜ゃっ喜ゃっ喜ゃっ(きゃっきゃっきゃっ)」

という表現を思いつき、只今マイブームになっている管理人からでした。

追伸:あ、しまった。まだ11月だった……。

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