中島みゆきのアルバムタイトル(No.11〜No.15)
30代前半から中頃までのみゆきさん。
36.5℃から楽曲が大きく変わっているのが特徴です。今と違って30代の未婚女性というのは、社会的にも認知されていなかった でしょうし、ある種の焦燥感を感じていたのかもしれません。

ちなみにこの頃僕はまだ義務教育中でした……。

《11thアルバム》はじめまして
表紙裏表紙 お勧め曲
●僕は青い鳥
●ひとり
●僕たちの将来
 1984年10月24日発売。僕は青い鳥の詞の見せ場はズバリ「幸せになりたくて 人は変わっていく  幸せになりたくて 狩人に変わっていく」だと僕は思います。なかなか言えない言葉ではないでしょうか?
 「ひとり」は悟りがかった口調が印象的です。もっともみゆきさんの場合、この直後にヤクザな曲が続くことが多々あります が。
 「僕たちの将来」は、危ういカップルの話。どこにでもありそうなシチュエーションがリアルで怖い。また、最後の怪しい 声にも注目。
 このアルバムは総じて誰かに食って掛かるような感じのする出来になっています(と思う)。激しくも脆く、脆くても激しく、 みたいな感じを受けました。
《12thアルバム》御色なおし
表紙裏表紙 お勧め曲
●海と宝石
●カム・フラーシュ
●美貌の都
●かもめはかもめ
 発売日は1985年4月17日。軽快なステップの中に底知れる悲しみを隠す手法は、すでにみゆきさんの一部になりつつあると 感じられる曲が海と宝石です。命がけの愛を語っていたかと思えば、最後の最後でとぼけたオチを付ける辺りは流石です。
 カム・フラージュは言わずと知れた名曲。もともとは提供歌として作ったものですが、みゆきさん自身が歌うとまた別の 歌に聞こえるところが凄いです。
 美貌の都は高度成長に賑わう日本と、それに伴って進行した精神面の貧しさを歌っているように聞こえます。表面の艶やかさ と裏腹の寂しさを堪能してください。
 「かもめはかもめ」はみゆきさんの真骨頂(当時)! 壮大なバックミュージックにのって誰かを諭すような声でみゆきさんが 歌う。年齢を程よくとって、貫禄をかもし出してます。
 前作に比べて、このアルバムでは攻撃的な部分が薄れ、むしろすこし落ちついた感じがします。でもその底面では、まだ 人恋しさに胸を焦がすみゆきさんの姿が……!
《13thアルバム》miss M.
表紙裏表紙 お勧め曲
●熱病
●孤独の肖像
●ノスタルジア
 熱病はみゆきさんらしいといえばらしいのかもしれない。愛は熱病なのです。
 孤独の肖像は、前半は鬱状態。現実を直視し、あまり深く愛に求めてはいけない、と自分に言い聞かせるような歌い方が特徴。
 でも、最後の最後で、「やっぱり私は諦められないのよ」と呟き始めるみゆきさんが僕は好きだ。
 ノスタルジアは、「愛に冷めた」ヤクザな表面と「愛に対する望郷地味た憧れ」を持つ内面をうまく綴っている作品です。
 表面的に突っ張っていなければまた騙される。でも本当の自分は突っ張っている所とは別の場所にいる。
 ふと、頷いてしまう僕でした。
 発売日は1985年11月7日。
《14thアルバム》36.5℃
表紙裏表紙 お勧め曲
●F.O.
●シーサイド・コーポラス
●やまねこ●HALF●見返り美人
 このアルバムから、楽曲が全体的に変化してきます。みゆきさんの声域が広がったのでしょうか? 幅と深みが出てきた 感じです。
 F.O.は別れ際の男女のやり取りを"再現"しています。リアリティあふれる作品! 男と女の違いが生む悲しいエンディングです。
 シーサイド・コーポラスは長閑な空気の中に懐かしさを感じます。恋人達の古い隠れ家のような雰囲気を僕は感じました。
 やまねこはシングルカットされた曲なんですが、始めから最後まで、これまでのみゆきさんにはなかった脅威的な迫力が印象的 です。はっきり言って、圧巻です。パワフルな歌いっぷりと言う点では、この曲に勝る歌はないのでは……?
 HALFは恋をしたことがある人ならば誰でも思うことなのかもしれません。だからこそ、共感できる一曲です。この当時、みゆき さんはすでに30代半ばに差しかかっていましたが、こういった少女のような詞を書けるって凄いです。
 発売日は1986年11月12日。
《15thアルバム》中島みゆき
表紙裏表紙 お勧め曲
●湾岸24時
●御機嫌如何
●仮面
●ローリング
 湾岸24時は切実な願いが伝わってきます。ノリもいいのでファンならずとも聞きやすい一曲です。
 御機嫌如何は、別れて久しい方に対する手紙みたいな形式です。さっぱりしているような表向きの言葉と、傷ついた記憶を 消せないで悪戦苦闘している女性の姿が浮かび上がってきます。
 「仮面」はみゆきさんの「母性」を感じることができる一曲。とは言っても無条件で優しいというわけではなく、口調はあく までも厳しいといった所がみゆきさんならではと言った感じでしょうか。
 ローリングは寂しさと戦う人に口ずさんでほしい曲です。
 発売日は1988年3月16日。
戻る