生態系への影響

 アメリカやカナダ、またオーストラリアなどの大規模農場では、農業の効率化を 図るため飛行機から農薬や除草剤を撒いていることはご存知だと思う。
 ここで問題になるのは除草剤は雑草だけでなく農作物までも枯らしてしまうことだ。
 そこで除草剤に枯れない農作物を作るために遺伝子組み換え技術を利用しようという 動きが起こったが、そもそも遺伝子組み換え食物を作るということは自然界に組み換え 植物・細胞を放出することを意味するわけで、自然界に存在する植物と交配が行われる ことが問題になる。
 たとえば除草剤に耐性を持つ遺伝子を組み込まれた植物がある。この植物は大規模 農場というオープンな(研究室という密閉された空間ではない)自然界にあるわけだから、 一般の植物(雑草)の花粉が飛んでくれば交配してしまうことは十分に予想される。
 そうして生まれた新種の植物(雑草)が除草剤に対して耐性を獲得してしまった場合、 農場は除草剤耐性植物で覆い尽くされてしまい、除草剤がまったく効かなくなってし まう。
 そしてこの懸念は実際にアメリカで確認されているのだ。全く本末転倒な話である。

 また遺伝子組み換えによって改造された細菌が自然界に放出されれば、一般の細菌と 結びついて凶悪な新種の細菌を生み出さないとも限らない。自然界には虫や雑草ばかりで なく多くの細菌が存在し、そしてまだ人類が発見していないものは数知れない。
 つまり、絶対に影響がないとは誰にも言えないのだ。
 このような状況で、遺伝子組み換え食物の生産という野外実験 を強行してよいものなのかどうか、我々は真剣に考えるべきできないだろうか。

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