日本の核武装の是非を考える に対する投稿
劉表さんのご意見
 核の問題を考える前に本当に軍事的に敵に回したら怖い国は何処かということを考える必要があります。

 それは北朝鮮でも中国でもインドでもなく、アメリカです。日本が現状から核武装するということは、 アメリカが主導する国際システムへの挑戦となり、結局は日米同盟破棄ということにつながるでしょう。
 それで、核武装ー日米同盟破棄となった場合どうなるか? 同盟を破棄してもなあなあでやっていくというのは考えにくいでしょう。 むしろ、同盟破棄により非常に険悪になると考えたほうが自然です。
 おそらく、アメリカはあらゆる手段を使って挑発してくるでしょう。北朝鮮などのような小さい国なら見逃すかも しれませんが、経済大国日本を見逃すことはできません。

 日本の指導者には北朝鮮や中国のように、交渉での粘りというのはあまり期待できません。挑発にのって何かしでかすか 知れません。
 もしそれを理由にトマホークがユーゴのように日本の軍事施設は無論、発電所や鉄道さらには民間施設も含めて飛んでくる でしょう。
 それで、せっかく持った核はどうかというと、アメリカは人口が広い国土に分散しておりあまり怖くありません。
 対して日本は東京に人口が密集してますから、ここに広島型原爆一発で十分手を上げざるをえないでしょう。結局アメリカに 対しては「抑止力」は全く働きません。(働くとすればたとえばシンガポールとか、ルクセンブルグとかそういう国土が狭い国 相手でしょう。)
 よって通常兵器での勝負となりますが絶対にそれは勝ち目がありません。石油や食糧を絶たれたら終わりです。

 個人的には日米同盟というのは「守ってもらう」というより、むしろ「アメリカと戦争しないですむ」というのが大きいと 考えてます。戦前、日本はほかでもないアメリカと戦争して滅んだのですから。
 むろん、同盟を軍事的には堅持しつつ、ヨーロッパなどと経済面では連携していくのは大いによいと思います。 食糧問題、環境問題などでアメリカに対し共同歩調をとっていくべきです。

 もし日本が核武装したら、多分、思惑とは裏腹に北朝鮮やパキスタンと同盟して、アメリカと対峙する羽目になるかも 知れません。これでは負けは明白です。すくなくとも経済大国は維持できません。


管理人より
 様々な角度からの考察、ありがとうございます。

 先日、民主党の鳩山氏が西村発見について批判しながらも、「核を議題に上げただけで失脚することはよくない」という発言をされてました。 さらに鳩山氏は、「核の問題を国会で取り上げるべき」とも言いました。つまり国会で議論するに値するというわけです。

 この意見に対して、私は強い疑問を感じました。議論は結論を導き出すために行われるものですが、核保有などとても考えられない 今の日本で、大金を消費する国会で論ずることに意味があるだろうか? むやみに近隣諸国の反発を招くものではありません。
 表向きは非難しようとも、国際社会が内心納得するような状況にならない限り、この不毛の議論は国会で取り上げるに足らないと 考えています。

 以上の理由から、劉表さんとは少々切り込み口が異なりますが、私も日本が現時点で核を持つこと、また保有を議論することにも反対です。
 外交下手の日本政府は、仮に核を持ったとしても駆け引きに敗れるでしょう。その結果、核という爆弾を抱えたまま、国際的に孤立しない とも限りません。

 またアメリカがもし日本の核保有を本気で防ごうとしたら、おそらくトマホークが飛んでくるんでしょうね。原発(核兵器の元を作っている とも言える)を核開発阻止のためという大義名分の元で通常兵器で爆撃することで、日本に甚大な被害を 与えることが出来ます。
 逆に日本は核兵器を使ってもアメリカに被害を与えることは難しい。ワシントンを始めとする多くの政府の建物は地下に核シェルターがある 上、非常用の通信環境も整っています。冷戦の副産物は今でも健在なのです。

 通常兵器のみを使って戦争を優位に進めている超大国と、核兵器を使っても尚劣勢の敗戦濃厚の国とどちらに国際社会がつくかといえば 当然前者です。そういった意味では、正義のアメリカと悪の日本というプロパガンダが世界中を席巻し、敗れるのは必定。北朝鮮、パキスタン と三国同盟もどきを結んだとしても(ありえないと思いますが……)、とても国益になるとは思えません。

 日米同盟は日本が西側諸国であることの証であったので、東西冷戦構造が崩れた現在、その存在意義を根本から問い直すことには意義がある と思いますが、核武装については国会で議論することも含めて反対の態度を私はとりたいと思っています。

 ただし、「核はなにがなんでも反対!」という無責任な考え方にも反対です。私のスタンスは、 核武装を議論しなくてはならないような状況になって初めて、国会で取り上げるべきだということです。
 そして今はその時ではないと私は判断しております。

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