本日の御題:遺伝する遺伝子治療の結果
◆ウイルスがターゲット以外の細胞にまで遺伝子を運ぶという恐怖
 ある意味、これは当然の結果かもしれない。しかしこの結果は驚きをもって迎えられた。この結果とは、遺伝子治療 が子孫にまで影響を与えるという事実である。

 これはフロリダ大学で行われたラットによる実験の結果から確認された。
 それによると、血圧を上げる働きのあるアンジオテンシンという物質が作用する受容体 が細胞表面に形成されないようにする遺伝子をあるウイルスに組み込んだ上で、高血圧になる系統のラットの心臓内に 注入したところ、このラットはたった1回の治療でラットは高血圧にならなくなった。
 つまり永続的に効果が現れたのだ。

 その後遺伝子治療を受けたラットから生まれた子孫のDNAを調べたところ、なんと子孫にまで高血圧を予防する 体質が備わっていたという。つまり遺伝子治療の結果がそのまま遺伝していたのだ。
 一見するとなんともよい話のように聞こえるが、これは非常に不気味なことでもある。
 前述したとおり、遺伝治療を行ったのは心臓であり、生殖細胞ではない。にもかかわらず、ウイルスはラットの 体内のあらゆるルートから全身に血圧を下げる遺伝子を運んだことになる。

 この結果は重大で、潜在的にかなり大きな危険性をはらんでいる。今後、人間に応用する際は細心の注意と検討が 必要である。
 勿論、表裏一体として非常に大きな有効性も秘めていることは言うまでもないが……。

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