同氏が鷹派であることを疑う人はいないだろう。親分風の風貌で、衝撃的なことを言われれば、不甲斐ない者の吹き溜まりと 化している政治家達の中で注目を引くのは当然である。
　しかし、そんな同氏の気質が、お隣の「中国」という大国の神経を逆なでしていることも事実である。

　同氏の選挙公約が米軍基地問題など国政レベルのものが少なくなかったが、その殆どはまさに鷹派である。それを強いリーダ ーシップと錯覚した都民は多いだろうが、「むやみに突っ走ること」が「勇気」ではないように、「鷹派」イコール「強いリー ダー」でも決してない。
　少なくとも、就任当初から無意味な敵を作るようでは、都政もすぐに頓挫してしまうだろう。
　無駄な敵を作らず、議会とは時に協調し時に対立する、という駆け引きが政治には必要なのだ。

　結局、本人がどんなに頑張ろうと思ったところで、やる気は空回り、思うように改革が進まないのを都議会のせいにして、 任期途中で辞任してしまうのがオチである。
　もちろん、あくまで外見は紳士的に、まるで軍人のように潔く、である。

◆鷹の後には鳩が来る？
　では、その後は誰が来るのか？　現在のところ、最も近い場所にいるのは鳩山氏であり舛添氏であろう。

　鳩山氏は民主党という後ろ盾があるし、舛添氏はテレビという強力な武器を利用することで、広く無党派層から 支持を得ることができる。

　鳩山氏は今後の政治活動について言及を避けているので何とも言えないが、舛添氏は評論家として活動を続ける一方、 次期都知事選に向けても活動を続けるらしい。

　いずれにしても、石原氏の都政が、威勢ばかり良くて内容の伴わないものに終わったならば(その可能性が高いと筆者は 予測している)、次は理性的で専門的知識を持つ人間を都民は望むようになるだろう。
　つまり、アイドル的魅力で当選し、その後官僚にやられまくった青島知事を頼りないと感じ、強硬路線を明確にした 石原氏がその後釜に座ったようにである。

「鷹派」で失敗した後には「鳩派」がくるという予測は、そうした都民の精神面を考慮してのことだ。

◆今後の展望
　では最後に、私個人の望みを言わせてもらいたい。

　私は、都知事鳩山、副知事舛添という組み合わせが最もよい結果をうむのではないかと考えている。

　鳩山氏はリーダーシップもある上、政界でも顔が広い。経験もあるから都議会との協議でも、決して引けを取らないだろう。
　よって都知事にふさわしい人物だと思う。

　一方の舛添氏は評論家として知識はあるものの、今一つカリスマを感じない上、政治家としては全くの素人であるため、 理論は正しくても政治的駆け引きで負けてしまう恐れがある。また、政界に人脈も少ない。
　これらの理由から、同氏は副知事に向いているように思える。専門的な知識を有効に活用する、いわば影の功労者だ。

　そこで私が提案したいのが、鳩山氏と舛添氏の早期の連合・協力体制を整えることである。
　テレビ評論会で2人が親しく話していたことからも分かるように、2人は非常に馬が合う。よって、仲間として共に共通の 目的に向かって進むことは可能だ。

　しかし、選挙が先のときは別々に活動していて、いざ選挙戦が始まるや否やどちらかがもう一方に吸収されるような形を とっては、政略結婚地味ていてマスコミのいいおもちゃにされてしまう。
　つまり、かなり早い段階から密接な関係を保つことが必要なのだ。

　両者が早い時期から行動を共にするには、多くのメリットがある。鳩山氏は舛添氏から専門的な多くのことを学べるであろ うし、舛添氏は政界の人物と親しくなれるというメリットがあるのだ。