本日の御題:男女雇用機会均等法について
  ◆難しい男女平等
 男女雇用機会均等法が4月に改正され、以後、一部の例外を除いて男子のみの募集や女子のみの募集はできなくなる。
 そのそのこの法律は、長引く不景気の下、女子の就職が非常に厳しいことを踏まえ、性による差別をなくそうとしたもの である。よって、俳優、モデル、守衛、ホスト、ホステスなど、一部の職を除いて一方の性別のみを募集することはできな くなる。

 ややこしいのが、スチュワーデスや保母、セールスレディなどである。これらはそれぞれ、客室乗務員、保育士、セールス スタッフになるんだとか。
 保育士はともかくとして、スチュワーデスが客室乗務員では味気ないし、「客室乗務員」という募集を出して男子が応募し てきた場合、男性のスチュワーデスが生まれる(?)などと考えると、少々こっけいである(実際には間違って男性が応募して きたとしても、書類選考や面接で落とされるだろうが・・・)。

 いずれにしても、現実問題として現在の男女の不均等が是正されるならば、歓迎しないわけではない。
 しかし、法律としてあまり踏み込んでしまうことには、少々抵抗がある。法律として明文化してしまうと、どうしても運用 面で融通性がなくなるからだ。

 まず私が疑問に思うのは、求人広告にある「〜歓迎」という書き方は可能かどうかだ。例えば「経験者歓迎」「学生歓迎」 などと同じように「男性歓迎」「女性歓迎」は可能か? 歓迎しているだけであって制限しているわけではない、と言えるな らば、この表記は可能になるのだろうが、法律を無意味にしてしまう可能性があるため非常に微妙である。

 もう1つ、身近な例をあげよう。ファーストフードでアルバイトをしたことがある方ならご存知だろうが、マクドナルドや ロッテリアなどでレジに立つのは主に女性、裏方の作るほうは主に男性が従事している。もちろん、経験・能力によって多少 異なるし、ポテトぐらいならば女性もやるのだが、こういった役割分担はどうなるのだろうか?
 客としてはレジは女性のほうがいいと思う方がきっと多いだろうし、店側もそれを考えてそういう配置にしている。しかし、 突き詰めていけば、性差別と言えなくもない(私は言いたくないが・・・)。

 こういったことは、何も飲食関係の店に限ったことではない。たとえば電話帳を頼りに、一般家庭に一軒一軒電話を掛ける 仕事であるテレフォンアポインターなどは、女性の仕事とされてきた。これは女性のほうが電話を受けた人が安心するという 理由が1つあるためだが、こういった性に依存する仕事について配慮はされるのか、という問題がある。
 どちらでもできるけれど、どちらかといえば男性向き、女性向きという仕事は、山のようにあるのである。この向き・不向き をどこまで容認するかが、今後の課題になるだろう。
 この法律は運用次第によっては過度の規制を正当化し、企業の自由な活動を妨げることにもなり兼ねないということを肝に 命じておくべきである。

◆男女同等ではなく男女平等を目指すべき
 「男女平等」を訴えている人が、実は「男女同等」信者であることが多い、と筆者はよく感じる。
 性別が違えは能力や向き・不向きが違う。仮に能力が同じであっても印象が異なる場合もあるだろう(接客がその一例)。 この性による違いを「差別」とするか「合理的配分」ととるかはケースバイケースであり、当然前者は是正されなければなら ない。
 しかしこれらを区別することは非常に困難であり、注意も必要だ。
 この場合、「男女を同等に扱う」べきと考えると全ての例は前者に属してしまうが、法律の本来の目的は 「男女の平等」である。同等に扱うことが不平等になることもあるし、うまく区別することが平等になることもある だろう。

 明文化されたことにより、融通が利かなくなることを私は最も懸念している。そもそも「平等」ということ自体が非常に哲 学的で掘り下げていくと結論はなかなか出せないものであるのだから。

◆男女不平等の「おまけ」
 最後に一言、男女平等を掲げる「婦人の会」みたいな組織が、男女不平等であるにも関わらず一言も不平・不満を言 わず問題意識もない分野がある。
 それは「女性のみ50%off」を掲げる飲食店やアミューズメントパークである。スキー場では「女性のみレンタル無料」なん て所もあるが、これらは性別による差別ではないのか、一度考えてもらいたいものである。
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