本日の御題:新たな投資先はどこか
  ◆低成長時代の投資先
 バブルがはじけてもう何年だろうか。あと数年もすると、最高利率(8%以上)で貯金した郵便局の10年物定期が満期になる事を 考えると、リアルに想像できる。
 日本は戦後最大(というより最悪と呼ぶべきか)にして最長の不況に突入し、しかも未だ出口は見つかっていない。今回はこんな 時代の資金運用について述べてみたい。

 資金運用といえば、主だったところはこんな所だろう。
  • 銀行(郵便局)の定期預金
  • 株式
  • 国債・地方債などの債券
  • 不動産
  • 海外の銀行など
 もちろん、他にもないわけではないが、一般運用者が比較的手を出しやすいのは、大体これらの内に分類されるだろう。

1.銀行(郵便局)の定期預金
 不況が続くと、景気刺激策を政府は取るので、どうしても金利は低く設定される。なぜかというと、企業が新製品を投入す るために設備投資する場合などには、どうしても銀行その他の金融機関から資金を借りる必要があるため、金利を低くして 借りやすくする必要があるからだ。

 ご存知の通り、日本は非常識とも言えるほど低金利が続いているし、根本的な構造の変化がもたらされない限り、この不況を 脱する事はできないだろう。よって今後、少なくとも10年間は低金利が続き、そのために定期預金であっても利息は期待できない 状況が続くと思われる。
 その一方で、銀行倒産という、これまで考えられなかったリスクは発生するので、このような資金運用の方法は魅力が薄い。

2.株式
 株式には配当金というものがあることをご存知だろうか? 簡単に言えば、投資した株主へ企業から利益の一部を還元する事を 目的にしたお金であるが、実は国際的に見て日本企業の配当率は極端に低い。
 それでもバブルの頃のように株価が値上がりしていくならば、値が上がった時点で売却する事により利益を得る事ができた。

 例えば、1株100円の株券を1000株買ったならば、10万円の資金を支払うが、これが1株300円に値上がりすれば、1000株を売った 時得られる金額は300×1000で30万円。その差額20万円が利益になる。勿論、手数料と税金はその後引かれる事になるが。

 問題なのは、株が上がるかという事だが、東証の平均株価を見ても分かる通り、株価は低迷を続けており、現状で株価の上がる 銘柄を予測する事はプロであっても不可能に近い。当然、素人が手を出すべきではない。

3.国債・地方債などの債券
 元来、国債・地方債(地方自治体が発行している)は、ノーリスクと呼ばれてきた。
 しかし、昨今の公共投資の増加により、債券が乱発して発行されたため、雲行きが怪しくなってきた。国はともかくとして、 地方自治体の発行する地方債については、実際に大都市であっても赤信号が点っている自治体がある。

 その一方で、乱発して売られた事から債券価格は下落し、利回りは上昇している(少ないお金で買えるということは、実質的に 利息が高くなったのと同じであるため)。
 結論として、一般投資家は地方債には手を出さないほうがいいだろう。国債はどうか? 現在の所、私は意見を述べる事がで きない。

4.不動産
 不況が長引くと、企業が新規に工場用地を買うことが少なくなる。
 また、先行き不透明感から(ボーナスカットやリストラなど)、個人も新たに家を建てたりマンションを買ったりという意欲が 薄れてしまう。当然、買い手が少なくなければ供給過剰につき地価は下落するので、不動産投資も期待できない。
 ただし、場所によっては、例えばバブルで急騰した大都市の近郊で比較的低価格の地域、もちろん交通の便がよい地域などは、 地価が若干上がる事もある。ただし、不動産の購入には借金をするのが普通なので、利子を払って余るほど地価が上昇するとは 考えないほうがいいかもしれない。

5.海外の銀行など
 海外の銀行などに預金するという手がある。現在好況状態にある国は総じて金利が高いから、思わぬ好利回りが期待できる。 気を付けるべき点は、海外への投資は常に為替リスクが伴うという事だ。これを説明しない金融機関での運用は避けたほうが 無難だ。
 つまり、預金した時よりも円が高くなれば損をする(せっかくドルベースで資金が増えても、高くなった円を買うにはより多 くのドルを必要とするため)。逆に円が安くなれば、利息分と合わせて為替変動分も利益を得る事ができる。まあ、海外旅行に 行く事が多くなった昨今を考えれば、ご理解している方も多いだろう。

 私が考える限り、最もローリスクでミドルリターンが期待できるのは、この分野だろう。

◆第6の選択肢
 これまで、不況下・低成長時代での投資先を考えてきたが、あまり魅力的なものがなかった。
 先に述べなかったが、「金(きん)」など貴金属も投資先としては有力である。ただし、ここ数年、価格はじわじわと下がって いるし、今後も続くだろう。第一の理由は、金を大量に保有していたロシアが経済不況のために金を放出し続けている事、また 円高が続く限り円ベースでの価格は下落するためである。

 さて、話を戻そう。それでは、もっと有力な投資先はないだろうか。ある、と筆者は断言したい。
 これはあくまでも筆者の予測ではあるが、その1つが「先物市場」である。

 「先物取引」というと、訝しく思う方もいるだろう。なぜかというと、一時期、「先物取引」を利用した悪徳商法が問題に なったからである。ここではまず、先物取引について簡単に解説しよう。

 「先物取引」とは、その名の通り、今後数ヶ月先の売買契約を結ぶ事である。たとえば今は2月、アメリカでとうもろこしが 収穫されるのが8月としようか。この場合、投資家はアメリカの天候が不順でとうもろこしが不作になると考えれば「買い」、 逆に豊作だと思えば「売り」を出す。つまり、不作ならば価格が高騰するので高騰した分だけ投資家は得をし、逆に豊作ならば 価格が下落するので損をするというシステムだ。

 この先物取引というのは、比較的低額(といっても普通のサラリーマンにとってはやはり高額なのだが)でも行う事ができるの で手が出しやすい一方、数ヶ月先を予測しなければならないので難しい一面がある。よって今すぐ飛びつくべきかといえば、決 してそうではない。
 ただ、この取引は現在日本では規模がまだ小さいため、今後成長する余白が残っている。2005年から手数料 が自由化され、金融バックバンにより一般投資家も銀行以外の投資先を探すようになった時、非常に魅力的な投資先になるので はないかと、筆者は考えている。今よりも広く情報が提供され、また環境が整備されればの話ではあるが。
 勿論、海外との取引であるから為替変動のリスクは伴うが、これは海外の銀行に預ける場合でも同じである。リスクは付き 纏うが、先物取引は価格が下がれば途中で売ってしまうこともできるため、比較的自由度が効くという利点がある。
 あとは、どこの会社に運用を任せるかということだろうか・・・。
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