本日の御題:党首選挙で民主党の活性化なるか |
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◆伏兵松沢氏の出現は何を意味するか 結党以来民主党の顔であった菅代表に思わぬ敵(?)が現れた。民主党の若手議員の推薦を受けて松沢氏が 党首選に立候補したのだ。同氏はまた40歳と非常な若く、支持者も限定的なものになるであろうから党首に 選出されることは間違いなくない。しかし、菅代表とやり合おうという人物が現れたことは、今後の 党運営に甚大な影響を及ぼすだろう。 まず若手を中心に松沢氏を支持していることが大きな特徴だ。これまで菅代表は政界の重鎮相手に、若手と して革新を望む人たちの支持を集めて臨んできた。つまり若手は味方であり、同士でもあった。 しかし今回は全く違う。一回りも若い人が、果敢にも挑戦を挑んできたのである。松沢氏の中に、かつて の自分を見たとすれば、党首という既成権力をがっちり握っている自分に対し、複雑な心境になるだろう。 若手の目には、かつて自分が反発した政界の重鎮のように映っているのか、と自信を無くしてしまうかもしれ ない。事実、松沢氏が立候補を届けた当日、菅代表はパーティを急遽欠席するなど、かなりの動揺を見せた。 しかし、今回の『事件』は菅代表にとってもプラスに働くだろう。かつて激しく憎んだ権力者に自分がなって はいないか、自問自答する機会を得たのだから。 いずれしても、短期的には波乱というほど大きな騒動にはならないと思われる。しかし数年後、 『思い起こせば、あの時が世代交代の始まりだった』と回想される日が来るかもしれない。 ◆眠れる"本命" 鳩山氏の不気味な動向 民主党といえば、菅代表の次に名前の上がるのが鳩山氏である。同氏こそ、民主党を創った張本人である。 菅代表は結党より少し遅れて、鳩山氏の要請により入党したことは、記憶に新しい。 さてこの2人、仲がいいらしいのだが、筆者は敢えて大胆予測をしてみたい。名づけて 「菅・鳩山犬猿の仲説」。安っぽいネーミングで申し訳ない。 理由は次のとおりだ。
これは昨年の秋頃だったが、鳩山氏が自民党や公明党などの一部議員と勉強会を行い始めた。菅代表がこれに 加わっているか確認は取れていないが、私が見た新聞の記事の限りでは、参加していないだろう。 これは自分が創った民主党の実権を失った鳩山氏が、菅代表の影響が届かない党の外に、同調者・支持者を求 め始めたことを意味するのではないだろうか。 筆者としては、参議院選挙に勝った後、この動きが起こったことに注目している。 次に菅代表に関する鳩山氏のコメントであるが、これが非常にきわどい。最近では、「鳩山さんは党を離れる 考えはないのですか?」という記者の質問に、「私が出れば菅さんが喜ぶだけ」と答えている。仮にジョーク だとしても、ブラックではないか。 また、菅代表の女性スキャンダル疑惑では、「さっさと謝ってしまえばよいものを」と周囲に漏らしたと言わ れている。 真意はともかくとして、民主党の求心力として呼び寄せた菅代表に党首の座を奪われてしまったことに、 鳩山氏が不満を持っていたとしても不思議ではない。思い起こせば、党首がまだ定まらず二頭体制だった頃、 どちらがリーダーになるのか、テレビ画面で見ていただけで緊張感が伝わってきたものである。 そして最後、これが最も見落としがちな事であるが、鳩山氏は故鳩山首相の孫に当たるということだ。 祖父と同じ政治の道を選んだということは、祖父を尊敬し、祖父のように首相となりたいという憧れがあった はずである。ないはずがない。そして、汚れた自民党を飛び出して新しい政党を作り政権を目指す。その矢先に 菅代表に党首の座を奪われ、仮に与党となったならば総理の座も譲ることになるだろう。菅代表がいる限り、 『いつかは祖父のようになりたい』という同氏の夢は閉ざされていると言っても過言ではない。 以上が「菅・鳩山犬猿の仲説」の論拠だ。これらの内、1つないし2つまでならば、特に気にしなかっただろ う。しかし3つも条件が揃うと、さすがに思い過ごしとして扱えなくなる。 予測が的を得ていたかどうかは、これからの政局を見てから結論を出したい。 |