本日の御題:日本に二大政党制は生まれるか!?
◆二大政党制待望論
 二大政党制が初めて口にされたのは、自民党が消費税導入やリクルート事件などによって記録的敗北をした頃では なかっただろうか。その後、国会議員の政党に対する忠誠心の低下もあって、中・小政党が生まれては消え、今日に 至っている。
 次に二大政党制が現実味を帯びてきたのが、昨年の参議院選挙直後である。自民党が参議院で過半数を割り、 もはや完全な与党ではなくなってしまった。衆議院の与党自民対参議院の与党民主・公明・自由という図式 になったのである。
 民主党・公明党・自由等は連立政権を目指し、対自民党で一致協力を約束する。その光景を見た国民は自民党一党 独裁が崩れることを期待し、それを実現できる強力な野党勢力の出現を望んだ。つまり英国や米国に見られるような 二大政党制である。ほんの少し前、ミニ政党が乱立したとき、実は彼らには与党を監視する能力がないことを思い 知らされた経験のある国民が、与党と対等に渡り合える野党を望むのは難しくない。
 こうして、国会内より一足早く、国民は二大政党制への移行に期待するようになった。

◆天下三分の計なるか!?
 しかし、与党自民党と対抗できる二大政党制の一方の雄を具体的に決めるとなると、とたんに頓挫してしまう。 参議院選挙直後は、野党第一党の民主党が最も有力だった。党首は絶大な支持を得ていた菅さんだったし、公明党は 特定の団体を母体にしているため一般国民の支持は得られにくく、自由党は小沢さんが強みにも弱みにもなっていて これまた広く支持を集められない。反自民党支持者は積極的・消極的いずれの理由にしても、民主党に支持が集まる ようになっていたのである。
 では、民主党が二大政党制のもう一方の雄になれるか? 現在のところ答えは「No」である。イデオロギー の相違が少なくなったため、自由党や社民党の一部議員は、自民党や民主党にくら替えすることも可能だろう。
 しかし、社民党の重鎮やクリーンだが(あくまでイメージではあるが…)頭の固い共産党議員が、自民党や民主党に 入るとはとても思えない。つまり短・中期的には、社民・共産党は存続する。しかし、この2つの政党は勢力が小さい ので、大した問題にはならないとも考えられる。
 そこで残るのが公明党だ。特定組織(しかも組織に入っていない人に対しては、排他的な側面のある組織)をバックに し、議席数も民主党に次いで多い公明党は、大躍進こそしないものの大敗北を喫することもなく、安定した議席を保っ ている。この状態は今後も長期的に続くだろう。そして公明党という存在がある限り、日本に二大政党制が根付かない ものまた明らかである。
 当分は自民・民主・公明の三つ巴が続くだろう。

◆イデオロギーの欠如が国会液状化を生む
 最後に、1つ言いたいことがある。かつて安保体制でもめたときのような「イデオロギー」による対立が薄れ てきた現在において、自民党も民主党も自由党も大きな政策では相違がない。あるのは既得権益を握っているか、また その権益にしがみ付こうとしてるかどうかの違いに過ぎない。
 また国会議員から見てみれば、55年体制が崩れたと同時に、「イデオロギー」に替わる付加価値を自分たちに付ける 必要が生じてきた。「マドンナ旋風」や「クリーンな新しい政党」というイメージ戦略が、体制崩壊後花盛りな事が それを証明している。
 党の執行部から見れば、人の出入りが激しくなり、頭が痛いことだろう。共産主義国家の崩壊と米国を中心とする 西側諸国の完全な勝利は、「右」「左」に由来する各々の対立点を弱め、議員は比較的自由に超党派の会合に参加で きるようになったのだ。これが国会液状化の原因であることは言うまでもない。
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