赤字国債発行で日本の経済は回復するか!?
◆財政支出の増大は官僚の思うつぼ?
一向に回復の兆しを見せない景気を上向かせるため、政府自民党は赤字国債の発行を決定した。その使い道はと言えば、 次世代への投資として必要と言われる「光ファイバー等の情報網の整備」などではなく、従来型の大型プロジェクト、 つまり土建屋さんが泣いて喜ぶ公共投資である。
毎年年末になると、使い切れない予算を使い果たそうと、どこの町でも道路の舗装工事が盛んになるが、今年の年末は 例年以上に、近所の道路がほっくり返されるかもしれない。

そもそも、土木関係の予算は毎年膨大で、しかも使い切れないものなのだ。にも関わらず、「不景気」であることを理 由に、また「社会資本の整備」という美名の下にさらなる財政支出がせっせと行われている。「予算を取る」ことが 「有能」である官僚の世界にとって、この不景気は名を上げる絶好のチャンスであったと言えるのではないだろうか。

◆宮沢大蔵大臣は官僚型?
第三次補正予算が国会を通ったら大蔵大臣を下りると言っていた宮沢さんだが、周囲の説得にあって前言を撤回した。 しかしこの事件が、宮沢さんの性格を如実に表わしてしまったような気がする。
自らが関わった景気対策の結果を見届ける前に大蔵大臣をやめるというのは、なんとも無責任な話ではないか。 「自分はやるだけのことはやった。結果がどうなるかは、次の人に聞いてくれ」と言っているようなものである。

そこには、官僚と同質の事勿れ主義を垣間見ることができる。つまり、先々のことはどうでもいい。自分が現職の「今」 が大切なのだ。
財政赤字がたとえ拡大しようとも、自分の代では問題にならない。赤字国債を今年大量に発行しても、それに利子を付け て支払うのは十年後なのだから。それまでに景気が回復していれば自分の財政支出政策が功を奏したと自慢し、もし景気 が低迷していれば後任の奴等が無能だと偉そうに評論すればいいのである。
官僚は退職年齢が極めて低い。さっさと天下りしてしまうためである。そのために、高官と言えどもその職にいる期間は 決して長くない。つまり、最後のババさえ引かないように気を付ければ、無責任がまかり通ってしまうのである。 うまくできたシステムである。

◆国会が旧体制にかえる日
最後に、景気とは直接関係ないが、どうやら小渕内閣は二回に渡り内閣改造を行うようだ。 まず一回目は来年正月早々、小沢自由党から閣僚を出すためである。
新聞の報道では、その後、自民党の反主流派などの協力を得るために、大掛かりな内閣改造を行うらしい。

なんとも胡散臭い話だと、私は感じている。
私のカンが正しければ、この二段階内閣改造論は、今は連立政権への参加に及び腰な「公明党」を与党へ引き入れるための 策略である。つまり、個別協議という形で(そして公明党提案の商品券構想を飲むというリップサービスをすることで)、 同党との距離を狭め、統一地方選挙の結果を見て、連立政権に参加を呼びかけるというわけだ。
参議院で過半数割れしている自民党にとって、公明党の協力は必要不可欠である。

支持率は、管さんのスキャンダル疑惑によって民主党は低下し、大型景気対策を取った自民党はじわじわと上昇している。 おそらく、今年の参議院戦のようなドラスティックな変化はないであろう。
こういった状況では現職が有利になるから、現職を多く抱える自民党が大敗することはなく、「これが民意だ」という大義 名分を得た後で公明党に連立政権参加を打診すれば、同党が拒否する理由はない。閣僚ポストは、議員にとって 魅力的なものなのだから。

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