本日の御題:人生塞翁が馬 |
◆民主党、自民党にダブルスコア 前回の総選挙で、小泉首相の人気にあやかって自民党が大勝したことと全く同じようなことが起こったと言えよう。 ……と言いたいところだが、若干違うようである。 今回の選挙で民主党に投票した人のうち、かなりの数が自民党支持者であった。彼らは必ずしも自民党を見限っているわけではない。不適切な発言や不祥事で、総理がコロコロ変わり、大臣がコロコロ変わり、官僚に支配されっぱなしの自民党にお灸を据える程度の気持ちで民主党に投票したに過ぎない。 つまり、彼らが次の選挙で民主党に再び投票する見込みは、それほど高くないと言うことだ。 結果として、数字的にはダブルスコアになった。 しかし、それで安泰だと考えるようであれば、すぐに民主党も野党に逆戻りになるだろう。 ◆民主党にはアキレス腱がいっぱい(内政面) 一度公約と掲げてしまった以上、引っ込みがつかないのだろうが、高速無料化は経済を向上させる効果はない。メンテナンスにはある一定のコストがかかるわけで、それは結局のところ国民の税金でまかなわれることになる。利用者が利用分だけ負担してきた従来のほうが、公平ではないだろうか? また、地方に外国人の参政権を与えるというのも慎重にすべきだ。一度与えてしまった権利を取り除くことは難しい。日本は今、地方分権へ向けて進もうとしているときであり、その影響は大きい。日本に帰化しようとしない外国人は精神的に外国人なのであり、たとえ二世、三世であっても政治に口を出させてはいけないと私は思う。 他に大きな項目としては、福祉関係だ。民主党は子供の教育費の補助や、最低賃金のアップ(日本全国、仕事の内容に関わらず一律)、失業のセーフティネットの二重化などを考えているが、その予算をどこからもってくるか不明である。確かに無駄な公共事業をやめればそれなりの額は浮くだろうが、既に日本の財政は逼迫しているのである。消費税を上げずに、この世界的不景気の中、輸出に頼る日本がどうやって景気を向上させ、税収を増やすつもりなのだろうか? ◆民主党にはアキレス腱がいっぱい(外交面) たとえばインド洋に展開している給油部隊の撤退問題。 米軍基地問題では、普天間基地移設に反対し、沖縄以外の場所への移転を考えているようだが、既に前政権が普天間でアメリカと交渉をしてしまっている以上、それを覆すのには相手が納得する大義名分が必要だ。でなけれぱ、国として信用を失うことになる。 更に、鳩山氏はアメリカと対等な立場を望んでおられるようだが、「日本が攻撃されたらアメリカに守ってもらう」が、「アメリカが攻撃されても日本に守る義務はない」という時点で、既に対等を望むのは身勝手な話である。 極東は現在、非常な緊張関係にある。この時期にアメリカに日米同盟を再考させる機会を与えてしまうということは、交渉カードを相手に与えるようなものだ。日本の軍備は情報、航空機を中心にアメリカに依存しているため、日米同盟を解除されて困るのは日本だからだ。 日本がアメリカと対等な立場を求めるということは、アメリカが世界の秩序を守ろうとしたら共に戦うということであり、それはアメリカもアジア諸国も、そして当の日本人も求めていないことである。 鳩山氏の「日本はアメリカから脱却しアジア偏重外交をとるべきだ」という過去の論文がアメリカで話題になっているが、もし実際にそのようなことをしたら、日本の将来は暗い。 東アジアにとって日本は加害者であり、アメリカにとって日本は戦争で負かした相手である。 そういう計算ができず、ただ「地理的に近いから仲良くしましょう」という発想であれば、幼稚以外の何ものでもない。 他にも、アメリカとFTAを結ぼうとしているが、日本の農業にダメージを与えることになるだろう。
私も、官僚支配を許している自民党には不満が多かったが、もしかしたら民主党を選んでしまったために、多くのコストを国民は払うはめになるかもしれない。 |
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