本日の御題:食の安全を問う |
◆毒入りギョウザは、テロなのか? しかし今回の事件は、それらとは根本的に異質なものである可能性が高いことに注目すべきだ。 ◆食料自給率の低さ それは食料にも言える。より安価でより便利なモノとして人気を集めてきたのが冷凍食品。低成長時代にも関わらず、冷凍食品の市場は毎年2〜3%ながら拡大してきた。 しかし、安い食品を求めるということは、結果的には自国の食料自給率を更に押し下げることに繋がる。合理化が難しい一次産業は、どうしても人件費の割り合いが高く、人件費の安い国に負けてしまうのである。それは、自動化が進んでいる工業製品でさえ、海外に工場を作って原価を下げていることからも明らかだろう。 しかし、食材は工業製品とは根本的に違うのだ。 私は今回の事件が、ひとつの分岐点になればよいと思っている。経済が成熟し、生活レベルがある一定のレベルになることで、国民は美容や健康といったものにより多くの関心を寄せるようになっている。国民一人ひとりが安全な食品を求めている。それは毒入りギョウザの騒動で、スーパーから冷凍食品だけではなく、他の食品も中国産が撤去されたことからしても明らかだろう。国民は安全でない食品に明確にノーを突きつけているのである。 ならば政府が取るべき方策はひとつだろう。輸入品に限ったことではないが、検査基準や方法を見直すこと、もうひとつは自国内での生産量を増やすこと、つまり自給率を上げることである。 そもそも、海外からの安い農作物や食料品の流入は、国内産業を破壊する。自由貿易をかさにとり、自動車などの輸出で利益を上げている日本が、自国の食料市場を開放しないのは問題があるという評論家も多い。 しかし、 たとえばアメリカでトヨタの車が増えても、現地でしっかり雇用しているのだからアメリカ経済に貢献している側面を持つが、食料品は輸入するだけで日本国内の雇用を創出しない。 同列には扱えないのだ。 他にも理由はある。船積みされ日本に送る際、運搬に時間がかかるため、原産地で使われるよりもより多くの防腐剤が輸入食品には含まれる。工業製品であれば、基本的に国内商品でも海外への商品でも同じ処理がなされるが、食品は違うのだ。これも同列には扱えない大きな理由のひとつだ。 政府は自国の自給率を上げる努力をしなければならない。そしは安さだけを求めることをやめた国民を抱える国として、当然のことである。 ◆原材料は海外でも、加工は国内で 企業が農業に参入できる環境を、政府は準備すべきである。 とはいえ、すぐに効果が上がるとはとても思えない。 そこで、より検査の行き届く食料の原材料を輸入し、国内でそれを加工するといったシステムを作るよう、政府は税制面その他で努力しなければならない。加工であれば日本が得意とするオートメーション化、合理化もある程度は可能であるし、人が必要な工程も存在するだろうから、当然雇用の創出にも繋がる。 |
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