本日の御題:日本は空母保有に向かう

護衛艦という名の軽空母いずも(22DDH)

海上自衛隊にニューフェイスが誕生した。いずも型護衛艦である。ヘリコプター護衛艦を表す(DDH)だ。1番艦が「しらね」の代替として、2番艦が「くらま」の代替として、それぞれ運用が予定されている。

これまでのDDHでは最新型だったひゅうが型に比べて、全長は51m長い248m、基準排水量は5,500トン増加、そして最大の特徴はヘリコプター甲板の同時発着艦可能数が5機、艦載数が14機とひゅうが型の3機、11機からそれぞれ大幅に増えているという点だ。
ヘリコプターの運用能力が格段に向上したと言える。

一方で兵装は簡略化された。これは、いずも型が単独航海を前提としない艦であることを示している。そう、イメージは限りなく海の要塞・空母だ。

これを護衛艦と呼ばなければならないのは、なんとも日本らしいが、この艦の公表されているスペックを読んだとき、日本がなぜ次期主力戦闘機にF-35を採用したのか、理解できた。

F-35と最後まで選考に残っていたユーロファイターは、現状では空軍仕様しか存在しない。つまり、空港のような長い直線がなければ飛び立つことも着陸することもできない。

一方のF-35は、タイプ別にA(=空軍仕様、通常離陸機)、B(=海兵隊仕様、垂直離陸機)、C(=海軍仕様、空母艦載機)の3種類がある。A型は元々艦載機ではないので省くとして、カタパルトを必要とするC型であっても現状のいずもでは運用は不可能だろう。
しかし、垂直に離着陸できるB型であれば、不可能ではない。

そう考えると、いずものヘリ搭載定数が、哨戒ヘリコプター 7機 輸送・救難ヘリコプター2機、余力として5機残していること、さらに貨油3300kL 3.5トントラック50台分のキャパを中に持っていることも理解できる。哨戒ヘリやトラックをこれほど多く積めるとしているのは、それが戦闘機に置き換えて公表すると外交問題に発展するからだ。だからあえて、攻撃力のない物の名前を挙げているのではないか。

事実、海外の空母を見ると、いずもはその規模からすると軽空母に属している。ヘリがこれほど大量にひとつの艦船に載る必要はなく、航空機を想定していると考える方が無難なのだ。

そして、とりあえずF-35Aを日本はアメリカから購入するも、その時の政治的判断でF-35Bを追加購入するという選択肢も残しているのではないか。ユーロファイターとF-35では操縦系に大きな違いがあり、パイロットは両方をマスターすることは難しいだろうが、F-35AとF-35Bであれば、細部に異なる点はあるにしろ、パイロットの教育にかかる時間は最短で済むはずだからである。

もちろん、それをアメリカ政府も中国政府も熟知しているだろう。知らないのは、日本国民だけかもしれない。

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