本日の御題:日本企業のホワイトカラーは反省すべき

技術を製品化できない日本企業
スマートフォンやタブレット端末で、今や本家アップルをシェア率で超えようとしている韓国企業、サムスン。すっかりその市場では日本メーカーは遅れを取ってしまった感があるが、敗因はいったいなんであろうか?

長らく、円高・ウォン安であったことを理由に挙げる人が多いことだろう。

しかし、それは技術者目線からすれば、必ずしも正しくない。

実用に耐えうる有機EL液晶を始めに開発したのはソニーであった。

最近、サムスンが製品化を発表した折り曲げられる液晶も、日本メーカーが先行していたはずだった。

そもそも、アップルのipadにしても、元々はソニーが作ろうとしたものとうり二つであったことが、明らかになっている。

技術は、共に日本企業のほうが先行していたのである。

アメリカ企業、韓国企業がそれを作れない段階で、日本企業が作る技術を持っていたと言うことは、先行者利益(他社より先にあの市場に、ある商品をリリースすることで独占的に得られる利益)を得るチャンスがあった事を意味している。

にもかかわらず、日本メーカーは製品化するまでに多大な時間とコストをかけ、結果的にタイムリーに商品をリリースできずに、他社に先行者利益を与えてしまった。

他社が市場に商品を投入し、売れることを確認してから販売するのは確かにリスクは少ないかも知れない。

しかし、他社がシェアを確保したのちに市場に参入しようとするものだから、価格は下げなければならないが、円高でコストが高くつく状況で安く売るわけだから利益が出るはずがない。また、後追いは企業のブランドイメージを、簡単に陳腐化させる。日本以外の地域で、ソニーやパナソニックに、どれだけのブランドイメージが残っているだろうか? 僅か十年前までは無名に近かったサムスンのほうが、先進的でスタイリッシュなイメージを持たれてはいないだろうか?

電機メーカーが軒並み赤字決算に陥ったのも不思議ではない。

これらは、失敗を恐れた日本メーカーのホワイトカラーが、自社の技術(技術者)の能力を製品化に活かせなかったことに起因している。長らく不況で、日本企業はすっかりチャレンジする気概を失ってしまっているのだ。

技術者に敬意を払わないメーカーは滅ぶ
サムスンが、日本企業の技術者を高い賃金で雇い入れていることは周知の事実だろう。最近は、韓国の異常なまでの反日思想にうんぞりしている日本人も多いが、韓流が人気を拝していた頃は、日本メーカーの技術者が韓国企業に流れたことも多かった。彼らはよい給料で引き抜かれるが、持っている技術をすべてはき出すと、さっさとお払い箱になって日本に舞い戻ってくることになる。なんとも、悲しい現実だ。

韓国企業は、分野を絞って、あるときは液晶、あるときはテレビ、最近はプリンタの技術者を集中的に引き抜いている。

ではなぜ日本人技術者が流出したのか? リストラ等による愛社精神の欠如や失業が大きな原因であろうが、それと同等レベルの影響がありながら顕在化しない問題は、メーカーであるにも関わらず、技術者に敬意を払わない企業が多いことだ。

メーカーはもの作りのプロフェッショナル集団である。品質がよければ売れるとは限らない時代だが、メーカーにとっての財産は、モノを作る原点ともいうべき技術・ノウハウであり、それを担っているのは技術者に他ならない。ホワイトカラーが100人集まろうが1000人集まろうが、こと技術に関しては、彼ら1人に及ばないのは言うまでもない。技術者こそ、メーカーにとっての宝なのだ。

そして、少なくとも日本の技術者の能力は、今でも韓国の技術者に引けを取っていない。それでいて、日本企業が製品化できないものを韓国企業が先に製品化してしまうのは、技術の差ではなく、経営判断の差なのだ。技術者の差ではない。

この点を日本の経営者、ホワイトカラーが自覚し、自戒し、猛省しなければ、この先、多くの分野で日本の企業は窮地に立たされるであろう。

戻る