本日の御題:国内の全原発停止は、ビジョンを持って行うべき |
◆政治決断で止めたのではない全原発、そこにビジョンはない 最終的に達成されなければならないことだが、しかし早すぎる印象も否めない。 しかし、現状は、原子力行政に携わる人間からは「一日も早く、原発ゼロからの脱却を目指したい」という言葉が聞かれ、政府もそれを消極的ながら支持している。できないのは、国民の支持がないに過ぎない。 行政が止めようとして止めたのではなく、定期検査に入るから止め、そのまま稼働できなくなるだけである。 理念なり、ビジョンなりのない停止は、いつでも簡単に復活する。 原発を止めるのであれば止めるなりの方策が必要だが、元々完全に止める気がない人たちに、その方策を考えられるはずがない。そこが最大の問題だろう。 また、ご存じの方も多いと思うが、原発が止まっているからと言って安心だなどと決して思ってはならない。 停止後も燃料棒は熱を発しているため、時間をかけて少しずつ冷却をしていく必要がある。 そして、残念なことに、報告されていても、実際には誰も動かない、何もしない、というお役所体質もなんら変わっていない。 福島の原発では、国内からも海外からもその危険性が指摘されていたにも関わらず、全く手を打たずに今日に至った経験を、全く活かしていない。 このような体制で、原発再稼働を訴えたところで、国民が支持するはずがないことを、なぜ民主党は分からないのか、私は不思議で仕方がない。 最後に各国の反応をご紹介しよう。 アメリカ「原発に最も積極的だった国家であった日本の原発が停止することに驚き」 ヨーロッパ「原発停止は政治力的指導力欠如の結果」 中国「電力需要を満たせなければ、地方に打撃」 各国の反応の違いは実に興味深い。ひとつの事象に対して、これだけ様々な考え方(彼らにとっての正しい指摘)が異なるのだから。 オバマは、スリーマイル島の原発事故以来停止していた原発の新規建築を許可した大統領である。 EUはドイツのような脱原発を進める国もある一方で、フランスやイギリスといった原発先進国をメンバーに持つ組織である。ロシアからの天然ガスに多く依存しているため、政治的な理由で原発に頼らざるを得ない状況にある。 中国は、エネルギー需要の増大と、石油・石炭といった化石燃料依存からの脱却を目指して、急ピッチで原発を建築している国家である。 いずれも原発完全停止に否定的な指摘をするのは当然である。なぜなら、日本の脱原発を賞賛すれば、それは国内の原発問題に飛び火するからだ。要は、彼らは彼らなりに国内向けに情報を伝えているのであって、その国の事情によるところが大きいということだ。 よって、必ずしも、彼らの指摘を鵜呑みにする必要はない。 しかし、それでいて、彼らの指摘ひとつひとつを見ると、確かに一片の真実がある。 都合のいい一部分を切り取った各国・組織の指摘は、全てをひとつにまとめると日本の現状をよく説明できている。 こういった原因を招いたのは政府や東電、いや原子力行政全般であり、国民の不信感を払拭できない愚鈍な国会議員たちだ。 彼らは残念ながら変わらない。変えるためには、人を入れかえる必要がある。 |
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