本日のお題:野田内閣は評価できる |
◆現実路線こそ、政治の王道 元々パフォーマンスがうまい訳でもなく、テレビでの露出も決して多い方ではない野田氏は、にじみ出てくる人柄の良さだけが支持に繋がっていたと言えよう。 しかし、組閣後1ヶ月余りで、鳩山や菅が全く進めることのできなかった懸案に、向き合っている点は高く評価していいことだ。 たとえば、TPPについて。こちらはまだ態度を決めてはいないが、これまでの内閣が腰が引けていた対応をしてのに対し、野田氏からは参加する方向性が感じ取れる。これは日本にとってよいニュースだ。 ちょうど先週、アメリカと韓国が二国間でのFTAを早期に結ぶことで合意したが、国際社会は新興国のインドや中国、ブラジルなどとまさに競争社会のまっただ中にあり、自国の競争力を保持しようとすれば、FTAは必然的な流れなのだ。 韓国の農家も決して大規模ではないがそれでも参加を推進しているのである。日本にできない理由はない。確かに韓国のウォンと日本の円は、対ドル為替相場において非常に大きな隔たりはあるが。 また、増税についても私は支持する。必要なことを必要とせず隠していたところで、時間が経てば必ず露見するものだ。一度国民を騙したら、自分がババア引くのを恐れる政治家達は、嘘を突き通したまま次世代にバトンを譲ろうとするだろう。それが良い結果を生まないことは重々承知の上で。 言いにくいことを言う野田氏は政治家として誠実と言えるのではないだろうか。 武器輸出三原則の見直しも現実路線への展開という意味で評価できる。空想で物事を考える愚かな平和主義者達は、日本が武器輸出のたがを緩めることに怒りを覚えるだろうが、これもまた世界を見ていない。 単独で最先端の戦闘機を開発できているのは、世界でもアメリカ、ロシア、中国など少数でしかない。ヨーロッパのユーロファイターという戦闘機はヨーロッパ諸国の共同開発であるし、アメリカの次期主力戦闘機F-35ライトニングにしても、イギリス他との共同開発だ。高いステルス性や機動性、多目的な目的をこなすための拡張性、戦闘を優位に進める電子機器などは、もはや一国で開発できる時代ではないのだ。コストだけではなく、機能面でも、である。 そしてこれらの国々は、高い開発費用をペイするために、自国以外にも武器を輸出するのである。これらの国々と共同開発をしようと思ったら、武器輸出三原則は緩めなければならない。 武器の開発などしなければよいではないかと言う人もいるだろう。確かに尤もな話だ。私もそう思う。それは理想と言えども、捨て去るべきではないと思う。しかし、理想を達成する時期が今ではないのは明らかだ。お隣の国は日々戦闘機の技術向上に力を注いでいるし、彼らは力を付ければそれを政治的に利用してくる。 また、アメリカや西欧諸国といった日本の同盟国、友好国は金融危機に陥り、他国をかまっている場合ではなくなりつつある。日本もまた、戦力増強の競争社会に飛び込んでいかなければならない時代に差し掛かっているのだ。 もし、それでも必要ないというならば、是非交渉だけで尖閣諸島や北方領土、あるいは竹島を名実共に日本の領土として自由に使えるようにしてもらいたいものだ。強力な兵器は、保有しているだけでも交渉力になるというのは世界通年であり、我々はその世界の中で生きていることを忘れてはならない。 その上で、真に兵器のない世界という理想を実現できる日を待とうではないか。世界の人すべてが同じ気持ちにならない限り、日本一国だけの理想は、ただただ危険なだけである。 話が長くなったが、沖縄の米軍基地問題についても、現実路線への転換は、民主党政権になって以来続いていた混沌に終止符を打つことになると期待している。 ◆マスコミに惑わされるな 震災からの復興、原発・エネルギー問題、為替の円高、税制改革、年金問題、沖縄米軍基地、と数え上げれば切りがない諸問題を抱えている日本。 確かに、これらへの解決案は確定していないし、もちろん結果も出ていない。しかし、野田内閣は発足して一ヶ月だ。仮に世界で最も優れたリーダーシップを発揮する人物であったとしても、これらを1ヶ月でさばくことはできないだろう。首相にはもう少し流し時間を与えるべきだ。特に、与野党のねじれ国会や、野田氏の民主党内での派閥の規模などを考えれば、リーダーシップが発揮しづらい環境にあることは重々理解できる。 にも関わらず、おもしろおかしく非難して首相を引きずり下ろすことばかりに勤しむとは何事だ。 どんな組織であれ、方向転換するのが難しいのは会社員ならば理解できることであろう。人は簡単には動かないし変わらない。まして、利害関係のある政治の世界においては、一般企業以上の派閥やしがらみが存在しているはずだ。それらを全て取り払うことはできないし、それをするためには日本を大統領制にするなど、まさに組織のあり方を根本的には変えなければ不可能である。 マスコミには、もっと真摯に政治を批評していただきたい。それがあなたたちの使命のはずだ。報道の自由とは、ただひたすら国民の不安を煽ることではない。 |
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