本日のお題:野田内閣、ガンバレ!!

◆選挙対策の甘い言葉など必要ない
最近の政治家、特に民主党政権になってから顕著だが、「増税しない」「財政再建はする」「道路・教育等を無償化する」と、両立ができるはずのない、まさに国民をバカにしているかのような公約が高らかに掲げられてきた。

それは、「抑止力なしの平和」を平然と謳う輩に似ていて、私は嫌悪感を抱いてきた。自民党が度々民主党を指摘する時に使う言葉だが、民主党の政策には、「財源確保」という視点が欠如している。だから、どれだけあるかも分からぬような、いつまで続くか分からぬような「埋蔵金」なるものに過度の期待をしてしまうわけだ。

もうすく100兆円に達する国の借金と、地方自治体の借金の合計はまもなく国民の貯蓄残高を超えるとも言われる。国債・地方債の発行は将来の世代へ負担を強いる政策であり、埋蔵金をがさつにかき集める政策は過去の貯蓄を食いつぶす政策にほかならない。

それを恥ずかし気もなく言うのだから、どこまでも恥を知らない人たちだ。

さて、野田内閣が発足して久しいが、就任間もない大臣の失言による突然の辞任があり、バタバタしてはいるものの、現実路線という意味では私は支持している。

野党へ政策協力を求めていることもあり、高速道路の無償化見直しなど、非常に評価できる点もあるし、なにより民主党の総裁選挙前に、きっちり増税のことを口にしていた点が高評価だ。

原発や地震の震災にかかる巨額の費用を、単に国債だけでまかなおうすれば、今欧州で発生している信用不安を招きかねないからだ。

沖縄普天間基地移設問題にしても、民主党政権発足前の状態にようやく戻ったといったところだろうか。沖縄への米軍基地一極集中は決してよいことではなく、長期的には改善されなければならないことだ。特に、市街地に隣接した基地での航空機の離着陸は危険を伴う。

しかし、同時に最近になって中国の海軍力増強とそれに伴い尖閣諸島付近での露骨な挑発がある以上、抑止力としての米軍は必須であり、もしそれを望まないというのであれば、単独で中国と対応=自衛隊の増強=コストアップという覚悟をしなければならない。しかし、それは決して現実路線ではないだろう。

脱・原発がこれだけ騒がれている時代でさえ、残念ながら原子力空母や潜水艦、あるいは核の傘は国際社会では機能しており、日本が本当に原発を永久に放棄するならば、米国の核の傘が永久に必要になることを意味しているのだから。つまり、米軍を追い出すことは、今後ますます難しくなると言うことだ。

政治家は理想家であってはいけない。現実主義者でなければならない。故に、必要なものは必要だと言い切る野田政権を今後も支持していくつもりだ。政治家は選挙に勝てばよいのではなく、国をよくすることに真摯でなければならない。

◆脱・原発の流れ
偶然だが、この記事を更新している今日、脱原発を訴えるデモが東京明治公園で行われた(主催:さようなら原発1000万人アクション実行委員会)。デモの内容は、国内すべての原発の廃炉で、主催者による発表では参加者は約6万人(内福島県から約500人)。

有名人では、ノーベル賞作家の大江健三郎や俳優・山本太郎が参加したらしい。

これらの動きは確かに正しい。つい先週だったか、原発大国でもあるフランスで低レベル放射能処理設備で爆発が起こったばかりだし、アメリカではハリケーンの心配がある。問題はタイムスケジュールだ。明日からなくすことも、5年後になくすこともできないからだ。

電気がなければ、社会インフラは殆ど機能しなくなる。事務所や工場以外にも、交通、医療、その他多くの活動は電気に頼っている。資源のない日本が、自家製の電気をどう作るかが今後数十年の日本の未来を決めると言っても過言ではない。

私は、国が明確に脱原発の姿勢を示すべきだと思う。そして、具体的な期限を設けるべきだ。

新エネルギーや発電効率を上げるための研究は、日本各地で行われており、俄に注目を集め始めている。有能な人材は、未だかつてないほど集めやすい分野といえるだろう。では、この分野を飛躍的に伸ばすのに、あと何が足りないかと言われれば、予算将来性である。

太陽光発電が日本のお家芸であったのは今は昔であり、最近では韓国や中国に押されている状況にある。韓国は国策としてハイテク技術の研究を支援しているし、中国は安い価格と他の技術を真似ることで急激に競争力を高めている。

日本は、高度成長期の成功手法であった「国と企業が一体となって技術を開発する」という国策を捨て(当時、日本のその方法に欧米から非難があったのと、その手法は後発国のやり方であり、世界生粋の先進国となった日本には適さないという論評があったことを覚えている)てしまったのが残念だ。

原発の痛手から国を再生するためには、根幹となる技術革新が必要である。そのための予算を今以上にどうか割いてほしい。

もうひとつは、その分野の将来性である。将来性がない分野に若い人たちは流れないのは当然だ。震災を経験したこの機だからこそ、省エネ技術を世界に誇れるレベルにまで高め、一大産業に育て上げることが求められている。一過性のブームにしないためにも、だ。

アメリカにシリコンバレーがあるように、例えば福島に省エネバレーを作るぐらいの壮大さがなければならない。

かつて、日本人がよく口にする「もったいない」という言葉が、海を渡ったことがある。次は「省エネ」という言葉が海を渡るべき時ではないだろうか? 世界の人口は今も増え続けており、裕福な活動をする人口も増えている。エネルギーの効率化は決して地味で日の目をみない課題ではなく、今後の人類の行く末を決めてしまうかも知れないほど、やりがいのある仕事であるのだ。

戻る