本日の御題:消費税率アップによる増収は、借金返済に充てよ

◆国の借金は、まもなく1000兆円
馬鹿みたいなヘッドラインだと思わないでほしい。この数字は、決して誇張したものでも、荒唐無稽なものでもない。2010年3月末時点で約883兆円だった借金は、民主党のバラマキ政策によって更に膨れあがり、2011年末には1000兆円を突破するとも言われているのだ。

政権交代があることで政治の健全化が図られる、と考えていた多くの国民は、今、その幻想から目を覚まさなければならない。この国の与党と野党は、国家の行く末よりも、如何に国民に媚びを売って、その日暮らしの議席を保とうかに奔走しているのだから。確かに民主主義である以上、支持率は重要である。国民の支持が得られない政策は、却下されなければならない。

しかし、これだけ財政が逼迫しているにもかかわらず、高速道路の無料化や高校教育の無料化、子供手当の増額など、国民の人気取りにしか思えない政策が次から次へと出てくることは、問題ではないだろうか。

それは結局のところ、将来、国民につけを払わせる政策であり、目の前に甘い飴をぶらさげて、国民を欺いているとさえ思える。

朝三暮四という言葉をご存じだろうか?

古代中国、宋の狙公(そこう)が、飼っている猿にトチの実を与える際、「朝に三つ、暮れに四つやる」と言ったら猿が少ないと怒った。そこで狙公が「では朝に四つ、暮れに三つやる」と答えると、猿たちは喜んだ、という逸話から生まれた諺である。

口の悪い言い方をすれば、今の政府・民主党の政策は、国民を猿扱いしているようなものである。政策=税金であり、国民にとって甘い政策は、結果として必ず税金という形で現れるのだから。

◆消費税を上げるというならば・・・・・・

実は日本の消費税は、極めて低い。高齢化が進んでいる先進諸国のイギリス、フランス、ドイツが軒並み19〜20%と高いのは分かるとして、発展めざましい若い国、中国でさえも17%もある(ちなみに中国は増値税という)。5%しかないのは、主要国では韓国、カナダぐらいである。

ちなみに、北欧諸国はノルウェーで25%、フィンランドで23%とこれまた高い。これらの国は消費税だけではなく所得税も日本に比べて格段に高く、それが高福祉社会を支えているが、日本とは産業構造、規模があまりに違うために、そのまま参考にはできないだろう。

各国の消費税を見た場合、日本の税率にはまだ上げる余裕がある。もちろん、税率が低いというだけで、余裕があるというのはあまりに軽率だ。国によって食料や住宅の金額は大きく異なり、それらは平均的な給与水準と比較されなければならない。その結果、どれだけ増税に国民が耐えうるか計られるべきである。

しかし、それを十分考慮しても、消費税を上げることそのものには私は賛成である。国家の借金をこれ以上増やして、諸外国からの干渉(INFから資金援助を受けて財政を建て直す場合、様々な条件付けをされることになる)を受け、円が暴落し、国民の財産が大きく目減りするよりはましではないか。

しかし、そこにはひとつ、重大な注文を付けることだ。

消費税の使い道である。

過去の増税でもそうであったが、税金が増えると自動的に支出が増えると言うことが行われてきた。そのため、増税しても思ったほど財政は改善されない。つまり、官僚が、あるいは族議員が、増えた収入分をそっくり使ってしまうのである。

特に不景気なこのご時世である。ゼネコンの族議員が、激減した公共事業を復活させようと、予算を狙ってくるのは目に見えている。

更に、民主党政権が公約に掲げた社会保障は金がかかりすぎる。既に埋蔵金も底をつくと言われており、新たな財源確保として消費税が充てられるのは目に見えている。

事実、政府は、消費税を充てる社会保障の範囲として、現行の年金介護高齢者医療の3分野(1999年度以降、予算総則で、消費税収を〈1〉基礎年金〈2〉高齢者医療〈3〉介護――の費用以外に使えないと定めている。)に、少子化対策を新たに加える方針を固めた。

これは何を意味するのか? 自民党時代と全く変わらないことが起こるのである。財政再建どころか、新たな使い道を作り出しただけである。当然、国の借金は減らない。

私は別に、社会保障の費用として充てることに反対するわけではない。

しかし、国の財政がこれだけ悪化している中で財政再建を二の次にして使い道ばかり考えることに、今の小ぶりな政治家たちの限界を感じてしまう。

もし消費税率を上げるのであれば、税率アップによって増えた増収分の何割は、確実に借金返済に充てる、ということを明文化すべきである。

でなければ、増収分は時の政府の支持率アップの飴として、たちまち浪費されてしまうだろう。

戻る