政権後退

◆理念なき 政権後退 民主党
5・7・5で詩ってみました。

テレビで、せっかく非自民である民主党の「政権交代」が実現したのだから……と言っているコメンテーターがいた。
リアルに、「政権後退」と聞き間違えてしまいました。

直接政治が口を出すことではないが、為替相場は歴史的な水準に近いところまで円高傾向にあり、株は下がっている。
国債の発行残高は、また過去最高を更新した。

そんな時期に内ゲバですか……。

確かに、参議院選挙は菅氏で負けた。
しかし、首相になって僅か数ヶ月で、彼の実力を計るのは軽率だろう。

しかも、政策の違いの見えない党内闘争は単なる権力争い、主導権争いにしか見えず、民主党の支持率が更に下がるのは目に見えている。

これではまさに政権後退だ。

しかも、小沢氏の国民からの支持は低い。
もし小沢氏が勝利すれば、民主党は選挙において更に窮地に立たされるはずだ。
小沢が総理になれば国民の支持が得られないのは当然として、他の小沢派を総理に据えれば傀儡だの院政だのと揶揄され、やはり民主党の支持率は下がることは間違いない。

小沢氏の力で当選した一年生議員は、ここぞとばかりに小沢氏を指示する方向で動いているようだが、彼らはそれが自分の首を絞めることだと分かっていない。
次の選挙まで時間があるから、それまでに民主党の支持率を高めれば問題ないと考えるかもしれないが、そんな浅はかな考えしか持たない議員には、ここ数年の内閣の存命期間を教えてあげたい。

しかも、ねじれ国会の事実は変わらないため、政権は常に不安定なのである。
ねじれを乗り切るためには、総選挙をして国民に問う必要があるという流れになるは必定だ。

政治の世界を引退すると公言していた鳩山氏の変心も、物笑いの種だろう。 自分の首と一緒に取った筈の小沢に力を与える行為は、彼自身が苦労して作り上げた党を破壊するパワーを持っている。

もっとも、今回の騒動を引き起こした張本人は、菅氏に他ならない。
彼には頑迷なところがある。
かつて民主、公明、自由三党が参議院で多数派となった際も、次の内閣を作る際に共闘すべき公明、自由両党を入れなかったうえ、両党の政策を取り入れようとしなかったため、離反を招いた。
彼は、今回も小沢氏の力を恐れるあまり、小沢派を全く登用しない方針であったため、ジリ貧になる前に立たなければ…という小沢氏の不安を煽う結果になったのである。

確かに閣僚の中に小沢氏の一派を入れれば、全員一致で政策を進めることは難しくなるかもしれない。
しかし、孫子の兵法でいうところの「勝てない時は戦ってはならない」という考えを実践するならば、自分たちが多数派になるまで、生かさず殺さず、妥協しながら政権運営していくしか方法がないのだ。

それは自分のためではない。民主党のためでもない。 日本のためである。
無駄な闘争で疲労し、党内の派閥の存在を露見させ、結果として党そのものの力を弱めるぐらいならば、「争わない」という妥協も恥じることではない。

民主党内のゴタゴタで漁夫の利を得るのは、自民党でもみんなの党でも公明党でもなく、もちろん国民でも官僚でもない。
政治の空白が官僚の力を増大させ、彼らの利益になるなどと思ったら大間違いだ。
日本の政治的空白で利益を得るのは、中国であり韓国であり、ロシアであり、アメリカであり、その他多くの外国であることを、彼らは理解すべきである。

この戦いの真の勝者は、国内にいない。

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