※WORST本収録の長編『甘く切なく愛はたゆたう』より。 【END】直前のある日、午前中ヤボ用で学校に来なかった九里虎。 そのヤボ用とは、一体何だったのか…? 以下は、そんな誰も聞きたくもないような疑問に迫ります(苦笑)←ただ本の中で 書き切れなかっただけだったり(殴)。 『甘く切なく愛はたゆたう―番外編―』 九里虎の魔の手…もとい、地獄の告白攻撃からなんとか逃れた黒澤が、十希 夫宅でホッと一息ついていた頃――― ようやく学校にやって来た九里虎は、黒澤を探し回っていた。 その鬼気迫る表情は恐ろしく、九里虎の姿を見た生徒たちは、皆一様にザザッ と端っこによけていく。 そんな周りの様子などお構いなしに、九里虎大魔王はドスドスドスと一心不乱 に廊下を突き進んでゆく。 その間、何度も黒澤の携帯にかけてみるものの、一向に繋がる気配はない。 当然だ。ようやっとの思いで十希夫宅に避難した黒澤が、電源を入れているは ずもない。 チッと舌打ちした九里虎の顔が、不意に歪んだ。 内側(口内)にジワリと血の味が広がってゆくのがわかる。 よく見れば、九里虎の顔は傷だらけだった。 両頬には平手打ちの痕。その他、猫にでも引っ掻かれたような爪痕が幾筋もあ った。 (フーッ。愛の痛みっちゃ重かもんたいね…。ばってんこンくらいクロサーんためち 思たらどーってこつなか。) 九里虎が黒澤への愛に自己陶酔を始めた頃――― 当の黒澤はというと、十希夫から愛の告白を受けていた…。 しかも、十希夫を自ら挑発するというおまけ付きで。 黒澤への愛を貫くため、8人の彼女と別れて来た九里虎の心情を、黒澤が知る 日は遠い――――。 |