『好きになってね?』





「ねぇ、鉄生クン?」
「うわあぁぁーーーっ!!」
 陵刀の呼びかけに、岩城鉄生は過剰な反応を示した。
 すでにザザーッと3mほど後方に下がっている。
「?・・・鉄生クン??」
 不思議そうにしながらも、しっかりと間合いを詰めて行く陵刀。
「くく来るなぁっ!!」
 鉄生はさらに後方に下がり、ビタンッと背中を壁にぶつけた。
 どうやらもう逃げ道はないらしい。
「僕、まだ何もしてないよね?何で逃げるの??」
(まだって何だよ?これから何するつもりだよ?)
 と鉄生は心の中だけで叫ぶ。
 声に出すのは、あまりに恐ろしすぎる。
「フフフ・・・。観念したみたいだね?」
 口をパクパクさせるだけの鉄生を見て、陵刀は勝手な解釈をしたらしい。
 プルプルプルと首を横に振る鉄生。
 しかし陵刀は、あっという間に鉄生を自分の腕の中に閉じ込めた。
 唇がくっ付きそうなほどの至近距離。
「ねぇ・・・僕が怖いの?」
 囁くように言う陵刀の息が、鉄生の鼻先を掠める。
「こっ・・・怖くなんか・・・・・」
『ない』と言おうとした鉄生は、だが口を噤んでしまう。
(やっぱり・・・ちょっと怖いかも。)
「フフッ・・・大丈夫だよ。僕は君を洗脳したりなんかしないからvv」
(っ!?・・・バレてる!?)
 鉄生が何を考え、何に怯えていたのか、さすが陵刀はお見通しだったらしい。
「ほ・・本当・・・だな?」
 それでも疑わしいのが陵刀司♂(年齢不詳)。
 おそるおそる上目使いに聞いてくる鉄生に、陵刀はニヤリ☆と美しくも妖しい笑みを返した。
「もちろん。そんなものに頼らなくても、君は僕が自力で必ず口説きオトすから―――ね?」

 このとき鉄生は、洗脳よりも陵刀の本気の方が、よほど恐ろしいことを知ったのだった・・・。





                                                      【END】






またやってしまいました、ワイルドライフSS第2弾です。原作で、陵刀先生の新たな
特技=「洗脳」が発覚!!そこから妄想して出来たのがコレだったり・・・(爆)。ところで、
このSSのタイトルですが、実は間違いです(え?)。本当は、そんな生易しいモンじゃあ
りません、陵刀氏の本気は(笑)。このSSの真のタイトルは―――「好きにならせてみせ
るからね?」です(ハハッ)。でもなんかイマイチ体裁が悪いので、もちっと可愛くしようと思
い、ああなりました。タイトルに偽りあり(←殴)。
次は師匠(賀集)×鉄生かなぁ〜?(笑)





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