『嫉妬してね』






「なぁ、大。今日はゆっくりしていけるんだろ?」
「はい。今日は特に予定もないですし。」
「じゃあさ、今日は泊まっ・・・・」

 チャラリラリ チャラリラリラ〜♪

 宗近が『泊まっていけよ』と言いかけたとき、絶妙のタイミングで
大の携帯が鳴った。
「あっ、すみません。」
 一言断りを入れてから、大が携帯に出る。
「もしもし。あっ、茜?」
(・・・御堂っ!?)
 その相手の名前を聞いた瞬間、宗近は嫌〜な予感に襲われた。
 案の定―――
「え?今?今は宗近さんの家だけど・・・・えぇっ!?すぐ来いって
何言って・・・・ちょっ、ちょっと待てってば!あっ、ちょっと聞いてん
のか?茜っっ!! ――――き、切りやがった、あいつ・・・・」
 携帯を仕舞って顔を上げた大は、
「・・・ヒャッ!?」
 目の前数センチのところにある宗近のアップに驚き、思わず悲鳴
を上げた。
「む、宗近・・さん?」
 おそるおそる問いかけたのは、宗近の目が完全に据わっていた
からだ。
「ダメだ。行かせない!」
 そう言って、宗近が大を全身で包み込むように抱きしめる。
 いや、抱きしめているというよりは、むしろしがみ付いていると言っ
た方がいいかもしれない。
「あの・・・すみません、宗近さん。俺、行かないと・・・・。」
「ダメだダメだダメだ!さっきゆっくりしていけるって言ったばかりじゃ
ねぇかよ。」
「そ、それはそうなんですけど・・・。」
 大は『どうしよう?』と困ったように目を伏せた。
 ―――と。
 突然、宗近が大から手を離した。
 そしてそのまま崩れ落ちるようにソファに沈み込む。
「すまない。わかっているんだ、我侭なこと言って大を困らせている
んだってことは・・・。でも・・・お前が他の男のところに行くと思った
ら、どうしても・・・どうしても許せなくて。こ、こんなのは醜い嫉妬だ
よな。なんかこんなじゃいつか大に愛想尽かされそうだな、俺。」
 そう言って、最後は自嘲気味に笑う。
「宗近さん・・・」
 大は宗近の言葉を全て受け止め、飲み込み、そしてふんわりと
微笑んだ。
「愛想尽かすだなんて、そんなことあるわけないじゃないですか!
冗談でもそんなこと言ったら怒りますよ。それに―――嫉妬される
のって、正直俺・・・う、嬉しいんです//// 宗近さんに愛されてるん
だなぁってすごく感じられて・・・。」
 恥じらいながらも、一生懸命言葉にして伝えようとする大。
 そんな大の姿に、宗近が冷静でいられるはずもない。
「大っ!好きだっっ・・・好きだーっっ・・・・。」
 何度も叫びながら、力いっぱい大を抱きしめる。
「俺も、好きです・・・。」
 大も宗近の背中に両手を回し、ぎゅっとしがみ付いた。
 そうして2人抱きしめ合ったまま、どれくらいの時が経ったのか。
 不意に大がゆっくりと口を開いた。
「あの、宗近さん・・・茜が待ってるんで、俺、ちょっとだけ行って来
ます。」
「大・・・」
「でも、あとで絶対戻って来ますので、きょ、今日は・・・泊めて下さ
いね?」
「っ!?」
 思いがけない大からの言葉に、宗近は一瞬目を見開き、
「ああ、待ってる。」
 すぐに幸せそうに微笑んだ。
「じゃあ、行って来ます!」
 そう言って大が出て行った後も、宗近は1人、デレデレと今宵の
幸せな妄想に耽っていたという・・・。


 しかし果たして御堂茜が、本日中にすんなりと大を帰してくれた
のかどうか・・・それは神のみぞ知る――――。






                                   【END】








[後書き]
ごめんなさい>< ←いきなりコレか!?
この小話は、ケムマキ様に頂いた宗近×大イラストから妄想(爆)
して書いたものです(『頂き物のお部屋』参照)。
あうぅ、あんなに素敵なイラストから何でこんなヘタレなもんが出来
上がるのか自分でも不思議(←オイ)。
あのイラストの設定があまりに萌えツボだったものですから、勢い
にまかせて書いちゃったと言いますか・・・(言い訳ダラダラ)。
だってケムマキ様曰く、『せっかくの2人の時間を茜の呼び出しで
大を逃してしまいそうな宗近』ですよ?これで萌えない方がおかし
いでしょ?(笑)
大君一筋で、独占欲強くって、ヘタレで駄々っ子、そしてオチ的に
不幸(酷)な宗近さんが好き(笑)。ええ、愛ですよ?歪みまくって
ますけどね(苦笑)。
この小話は、イラストの場面(大君が茜ちゃんから電話を受けてい
るとこ)から、その後の展開を妄想してみた・・・つもりです(汗)。
個人的に、ほんの少しだけですが、お初の誘い受風な大君(?)が
書けて満足です(←アホだー)。
ケムマキ様、あのような素敵イラストから、勝手にこんな妄想しちゃ
ってすみません>< ご迷惑ついでに(←オイ)、この小話はケムマ
キ様に捧げます。よろしければ貰ってやって下さいませ。
では!(逃)




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