『君の一番好きな人』




「ウフフフ〜v」
 顔を見るなり不気味な笑いを漏らす陵刀に、鉄生は思わず身震いしながら
一歩後退った。
「な、何だよ?」
「やっぱり僕って、鉄生君に愛されてるんだね〜♪」
「はぁ?何言ってんだよ、お前…。」
 訳のわからないことを言うのはいつものこと。
 気にせず行こうとした鉄生は、ふと思い当たることがあって、ピタリと足を止
めた。
「まさか…」
「ん〜?」
「さっきの聞いてた…のか?」
「フフv」
 怪しい笑みは肯定の証。
 ガクリと肩を落とす鉄生であった。
「嬉しいよ。鉄生君の一番好きな人が僕だとわかってv」
「え?俺の一番は陵刀じゃねーけど?」
 サラリと返ってくる言葉に、陵刀は一瞬で石化した。
「…………え?だだだって、さっきあんなに情熱的な愛の言葉を述べてくれ
てたじゃないかっ!!!!!」
 立ち直ったというよりは、搾り出すような悲痛な陵刀の声。
 しかし鉄生はやっぱり鉄生だった。
「さっきのは、陵刀を信じてるって話で…。好きとかそういうんじゃねぇし。」
 あっさりと返される言葉は、陵刀にはあまりにも残酷で。
「じゃあ、じゃあ鉄生君の一番好きな人って?」
 最後の力を振り絞って訊ねた答えは―――

「んなの決まってるだろ!なー?犬v」
『ワゥ!』


(僕は『犬』に負けたのか…?いや、それより好きな人って聞いてるのに、鉄
生君のおバカ!!)

 去って行く2人(?)の背に向かって、心の中で毒づく陵刀だった―――。







※まだサ○デー本誌を読んでいた頃、その内容に萌えて思わず書き散らし
たのがコレ…だったような気がします(←オイ)。




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