「Love is sugar?」 高橋涼介を知る者は、皆、必ずこう言う。「冷静沈着な男だ」と。 彼が取り乱した姿を一度も見たことがない。だとか、彼は誰にでも(もちろん 自分にも)厳しく、ましてや人を甘やかすことなど絶対にありえない。などの声 も多く聞かれる。 しかし、高橋涼介を近い場所から見ている一部の者たちは、皆が皆、声を揃 えて、こう言うのである。 「弟にだけ砂糖のように甘い男だ」と。 証言その1.―史浩― 「えっ?涼介のこと??・・・うーん、そうだなぁ。ちょ、ちょっと待って!」 キョロキョロと左右を見渡し、そこに誰もいないことを確認すると、ようやくホッ とした様子で、語り始める。 そこからはもう饒舌と言っても過言ではないくらい、ペラペラととにかく喋る喋 る。普段の抑圧ぶりが伺えるというものであろう。 「涼介は、とにかくアレ・・・啓介を溺愛してるからね。えっ?溺愛とかそういう 次元じゃないだろうって??(ギクッ)え、えーっと、いやその・・・まあ、ね。そ のへんはプライベートっていうか・・・あはははっ。とにかく涼介は啓介だけに は甘いんだ。どれくらいって・・・そう、例えば―――」 (回想) 「それでさー、アニキv」 「ああ。」 史浩がいつもの作戦会議場(レストラン)に行くと、相変わらず涼介と啓介 は、入り口に背中を向ける形で、4人掛けの席に隣同士で座っていた。 無意識的な(涼介は意識的なのかもしれないが)ラブラブっぷりに、2人の 席の10歩ほど手前で史浩の足が止まる。 この声をかけるタイミングが難しいのだ。下手なタイミングで声をかけよう ものなら、危うく赤城山で儚く散る可能性も充分ありうる。いや、マジでだ。 少し様子を見ようと、その場に佇んでいると(←ウエイトレスの不審げな視 線が痛い)、啓介が何やらメニューと格闘しているらしく、「うーん。」と唸って いるのが聞こえた。 「どうした?啓介。」 優しく問う涼介に、「このパフェとこっちのパフェ、どっちも新製品だろ? 両方食ってみてぇんだよなー。ああっ、決められねェっ!!」そんな苦悩の声 が返る。 「フフッ。」と涼介が優しく微笑んだのが、後ろからでも気配でわかった。何し ろこの高橋涼介という男は、弟の前でだけ天使にもなれる・・・ある意味スゴ イ男なのだ。 「では、こうしよう。俺がこっちを頼むから、啓介はこっちを頼めばいい。それ で半分ずつ食べれば両方の味見が出来るだろう?」 出たっ!涼介の超甘やかし攻撃。 「えっ、いいのか!?やったぁ!アニキ、大好きvv」 がばっと涼介に抱きつく啓介(←もちろん公衆の面前)。 こ、こりゃダメだ。 史浩はそのままそーっとレストランを後にした・・・。 「―――まあそんなかんじで、とにかく甘いんだよね。もうびっくりするくらい に。一度見てみるといいよ。どれだけ涼介が啓介を甘やかしてるかっていう のが、よくわかるから。まああまり近づくと、命を落としかねないけどね。あは ははっ。・・・って、もうこんな時間?大変だ。早く行かないと涼介に殺される ・・・。それじゃあっ!」 顔を引き攣らせながら、史浩はマッハで駆けて行った・・・。 証言その2.―藤原拓海― 「涼介さんと啓介さんのことっすか?・・・そりゃーもうめちゃくちゃ仲良いっス よ。見てて妬けるくらいに・・・えっ?いやー俺もあんな風に啓介さんと仲良く なりたいって、そういう意味ですよ。やだなー変な意味にとらないで下さいよ。 ええっ!?バレてるから白状しろ?まいったなーもう・・・まあちょっとは啓介さ んと特別な関係になりたいなとは思ってますけどね。さすがにそんなことを口に 出したら・・・後が怖いですからねぇ。まあ俺は涼介さんのことも尊敬してますか ら、2人のことを邪魔しようとは思いません。えっ?その2人のことをもっと聞か せろって??うーん、そうですねぇ。・・・そう言えば、この間こんなことが――」 (回想) プロジェクトDでの個人練習中のこと。 拓海は赤城山頂上で車―ハチロク―を止め、ボーッと休憩していた。 ノドが渇いてきたなぁと、すぐ近くにある自販機でジュースを買い、ハチロク に寄りかかるようにしてグビグビと呷る。 しばらく後、啓介のFDと涼介のFCが上がって来て、拓海のハチロクの隣に 止めた。 「お疲れさまです。」 拓海が声をかけると、 「おーっ。お疲れー。」 啓介の元気な声と、涼介の微笑が返ってくる。 「あーっ、ノド渇いたぁっ。」 自販機に歩み寄り、ある飲料に目を向けて、 「ゲッ。売り切れかよぉ!?」 啓介が切ない悲鳴を上げた。 その啓介の後ろから自販機を覗き込んだ涼介は、「運が悪いな。」と笑う。 拓海はジュースを飲みながら、2人のやり取りを見るともなく見ていた。 まだショックから立ち直れない啓介は、ガックリと肩を落としたままである。 涼介が「フッ。」と笑ったのが、後ろから見ていた拓海にもはっきりとわかっ た。 あっ、この笑いは・・・?と考える間もなく、涼介が啓介の髪をくしゃりと優し く撫で、こう言った。 「しょうがねぇなー。下の自販機に行くか?」 うっわー。甘い、甘いですよぉ?涼介さん。・・・でもこういう妥協しない姿勢 が、ちょっとカッコイイかもしれない。 呆れ半分、尊敬半分で見つめる拓海の前で、2人はもう一度それぞれの愛 車に乗り込み、 「下で休憩してくるなっ!」 「藤原もそろそろ降りて来い。」 一言ずつ残して去って行く。 それを見送ってから、あれ?涼介さんは別にここで飲み物買っても良かっ たんじゃ・・・?涼介さんだってノド渇いてるハズなのに。やっぱり啓介さんが 飲まないうちは、自分も絶対飲まないってことなのかな?うーん、ある意味ス ゴイっすねー。その徹底ぶりには恐れ入りますよ、涼介さん。もう甘すぎて・・・ これって、酸っぱいハズのレモンジュース(しかも果汁100%)なのに、何だか さっきからめちゃくちゃ甘くかんじるっスよ。 そう心の中で呟く(ツッコミを入れまくる?)拓海だった・・・。 「―――そんなこともあったっスねー。まあそういうことは、しょっちゅうなんで すけどね。プロジェクトD内では日常茶飯事と言ってもいいでしょうね。でも結 構大変みたいです。プロジェクトDのメンバーって、ほとんどが独り身らしくって、 目の毒だとかいう噂も流れてます。なんか逆に目の保養だっていう声も聞こえ るんですけどね。俺も実は、ちょっとそう思ってたりするんですけど・・・。啓介さ んって、涼介さんに甘えてる・・・いや、甘やかされてる時が1番可愛いんです よねーvv」 遠くを見て帰って来ないので、このまま証言終了。 証言その3.―プロジェクトD主要(?)メンバー達― ケンタ「啓介さん・・・(遠い目)。いえ、いいんです!啓介さんは涼介さんといる 時が1番幸せなんだって、ちゃんとわかってますから。ただ・・・俺は啓介さんを 見ていたいだけなんです。ずっと、ずっと・・・ああっ!!啓介さーんv」 (←おーい、帰って来い?) 松本「そうですねー。啓介さんはやっぱり魅力的な人ですよ。涼介さんも素晴ら しい人ですしね。ええ、お似合いなんじゃないかと。でも藤原担当のメカニックと しては、ちょっと啓介さんに藤原を惑わせないで欲しい・・・とか思っちゃいます けど。まあ彼(藤原)の場合、公私混同するようなタイプじゃないので、このまま でも大丈夫かとは思いますが・・・。ハッ!(ヤバイ)えと、すみません。啓介さん に惑わせないで・・・のあたりは、オフレコでお願いしますね。」 (←最初は優等生的発言だったのに・・・) メガネ「啓介さんのメカニックとなれたこと、とても光栄に思っています。ええ、 最初に涼介さんに恐ろしいクギを刺されたので、啓介さんとはもう本当に仕事 のみの関係といったかんじですね。えっ?どんなクギを刺されたかって??そ、 そんなこと言えませんよー。まだ命は惜しいので。」 (←なんだか結構気の毒?) その他1「あのお2人はもうまさに赤城での・・・いえ、この世の中でのベストカ ップルっすよ!!」 その他2「もう2人の姿を見れるだけで幸せっス。ラブラブイチャイチャ?何言っ てんすか!?そんなのこの赤城では暗黙のルールですよ!だからぁー、お2 人の邪魔は決してしないということです!!そんなことも知らないんですか? (フゥッ)」 (←な、なんかムカツク・・・) その後も2人への熱い想いを語る輩が多数出没したが、もういいやっ!って かんじで、全部削除。 証言その4.―高橋父・母― 「・・・啓ちゃんと涼ちゃんのこと?」 「ブホッ。」(←高橋父、お茶を吹き出す。) 「それはもちろん・・・」 「あーっ、ま、待っ」 「恋人同士よ。」 「ああっ(遅かった・・・)。」 「あっ、でもねー。正確に言うと、許婚(いいなずけ)なのvv」 「そこまで言わなくても・・・(小声)。」 「2人が結婚する日は・・・やっぱりお赤飯かしら?キャハッv」(←ちょっと何か 間違っていらっしゃるんじゃ・・・?) 「(もうどーにでもしてくれ。)」 「えっ?結婚するのはいつの予定かって??それはわからないわ。本人たち に聞いてもらった方が早いんじゃないかしら・・・?」 「さーて、仕事仕事。じゃあ、そういうことで!」(←高橋父、憔悴した様子でご 退場。) 「うふふふっvvあの人(高橋父)ねー、啓ちゃんを溺愛してるものだから、ひそ かに涼ちゃんに対抗意識を燃やしているのよ。私はやめておいた方がいいと 思うんだけど。もしもあの人が涼ちゃんの逆鱗に触れるようなことを仕出かし たら、あの子(涼介)例え親だってさっくりと殺しちゃうかもしれないしねぇ。あ ら?大変だわ。もうこんな時間。それじゃあネv」 今、最後に何かさらりと恐ろしい言葉を聞いたような・・・? ご本人申告(?)―涼介&啓介― 「おい、そこのおまえ!・・・おまえだっ、おまえ。この頃何をコソコソと嗅ぎ回っ ている!?」 ・・・脱兎(のごとく逃げ出す)。 「チッ。逃げ足だけは速い奴だな。まあ啓介を狙う輩とは違うようだし、今回だ けは見逃してやろう。」 ずい分お優しいようだが、ただ単にちょうど向こうから啓介がやって来たの で、そんなもんに関わってる時間が勿体無かっただけの涼介であった・・・。 その後。 「アニキ。なんかオフクロがいつ結婚する予定だ?とかしつこく聞いてくんだけ ど。」 「フッ。そんなもの俺たちの勝手だろう。」 「うん。でも一応は決めてるわけだし、言っておいてもいいかな?」 「啓介が言いたいなら、俺は別に構わないが。」 「ありがと、アニキvv」 「いや、俺も先に言っておく方が好都合なくらいだ。」 「えっ?」 「でっかい害虫が(家に)いるんでな。」 「???」 きょとんと首を傾げる啓介。 その可愛らしい仕草に、涼介は堪らず啓介を抱き寄せた。 「アニキ・・・。」 「啓介・・・。」 至近距離で見つめ合って――― 「んっ。」 どちらからともなく唇を重ねる。 それからしばらく、甘ーい時間は続くのだった・・・。 さらにその2ヶ月後。 某イベント会場にて、飛ぶように売れた同○誌があったらしい。 その本のタイトルを『完全実録!!―2人の真実―』という。その下には小さ く副題(?)が付けられており、「乙女の命をかけた戦いの日々」と書かれてあ った。また表紙の右隅には、「ノンフィクション」の文字が躍っている。 しかし残念ながら、その本の中に、2人の結婚予定日について触れている記 述はなかった。 この乙女の戦いは、まだまだ続く・・・模様である。 【END】 [後書き] ごめんなさいっ!(←いきなり、コレ・・・)本っ当にごめんなさい。 せっかく素敵なリクエストをして頂きましたのに、全然リクに適ってない・・・で すよ・・ね?(←殴)あの、言い訳になっちゃうかもなんですけど、私、原作で すでにめっちゃくちゃ涼ちゃんが啓ちゃんを甘やかしてると思ってますので、 それ以上どう甘やかしたらいいのか想像がつきませんでした(爆)。周りも皆 すでに甘やかしてる状態を当たり前のように思ってそうなので、呆れられる 状況というのも・・・以下同文(核爆)。 それで周りの方々に証言してもらうという形にしてみたのですが・・・どんどん リクから逸れていってしまったような・・・(遠い目)。しかもすでに小説にさえ なってなくて・・・もう本当に申し訳ございません。何度謝っても足りません。 ダメ出しでも何でもしてやって下さいませ。あれでしたら、もっぺん最初から リベンジ(書き直し)させて頂きますので。本当にすみませんでした。 よろしければ貰ってやって下さりませ。 最後に、2人の結婚予定日については、ご想像におまかせいたします。ちな みに私の説は、「涼ちゃんが医者に、啓ちゃんがプロのドライバーになったと きに結婚する」でした(笑)。 それではお目汚しをお許し下さい。脱兎(のごとく逃げ出す)←アッ! ↑ このSS、今までのどのSSより読み返すの恥ずかしかったデス。なっ、な んですかぁ!?これは・・・。あわわわっ、イベントとか同○誌とかまで持ち出 してるよ(腐女子度MAX)。取材大変でしたよぉ〜(激違)。 ギャグもここまでいくと気持ちいいですよね?ね〜?<オイ タイトルの寒さもナイスでっす!(ヤケクソ)・・・今、思い出しました。高橋父& 母を書くのが、実は1番楽しかったんですよ〜。特にお母様(笑)。 勝手な妄想ですが、私的な高橋父&母はあんなかんじです。涼ちゃんは堂々 と家族にも「啓介は俺のモノ」宣言をしてるんですね〜(うっとり)v 話逸れまくりつつ、帰ります(脱兎)。 |