Get a cramp in the calf (イニD編) 秋のある夜。 自宅の部屋で甘いひとときを過ごした2人―部屋の主である涼介とその弟 の啓介―は、2人が並んで寝てもゆうに余裕のあるベッドの中で、互いに裸 の体を寄せ合うようにして横になっていた。 ―――スー・・・スー・・・・ 微かに聞こえてくる寝息は、啓介のものだ。 涼介は可愛い弟の寝顔を優しい眼差しで見つめていた。 「啓介・・・。」 情事の余韻にひたる涼介は、しかし次の瞬間。 「うわっ・・・イタタタタタ・・・」 ガバッと跳ね起きた啓介のただならぬ様子に、慌てて余韻を断ち切り、自 分も跳ね起きた。 「ど、どうしたんだ?啓介。」 「あ、足が・・・。」 啓介は右足のふくらはぎの辺りを押さえてうずくまっている。 「足?・・・こむら返りか?」 「う、うん。そうみたい・・・。」 なにか悪い病気かと心配した涼介は、その言葉にほっと安堵のため息を吐 いた。 そして――― 「そうか・・・。こむら返りというのは、ふくらはぎの筋肉群である腓腹筋やひら め筋が硬直して痙攣を起こした状態のことだ。起こる原因としては、まあ幾つ か挙げられるが・・・今の場合、足が冷えて下腿部の血行が悪くなったことに よるものだろう。今日みたいな冷え込みのきつい日に足を出して寝ていたの が悪かったようだな・・・。」 延々と講釈を垂れる。 「なっ、なんでもいいから・・・アニキ。なんとかしてくれよーっ!!」 涙目で訴える啓介に、涼介は少しニヤリと意地の悪い笑みを返した。 「わかった。啓介、こむら返りの治療には2通りあるんだが・・・1つは温める。 もう1つは揉む。・・・さあ、どっちがいい?」 「え、えと・・・じゃ、じゃあ、もんで?」 無言で頷いて、涼介はチェストの抽斗を開けてドライヤーを取り出した。 何?と目で問いかける啓介に、 「足の先を温めながら揉むとより効果的なんだ。」 的確な医者の(←正しくは医者の卵の)意見を述べる。 「へえー。」 『さっすがアニキ』と一瞬痛みも忘れるほどに感心する啓介。 涼介は啓介の右足の土踏まずに両手の親指を当てて強く揉んだ。 それから、「よし。じゃあ、これ持って。」とドライヤーを啓介に渡す。 スイッチを入れ、啓介がドライヤーの熱を足の先に持っていく。 涼介はゆっくりと今度は痙攣部分を揉み始めた。 「うっ・・・。」 最初は痛そうに顔を顰めていた啓介だったが・・・そのうちだんだんと表情 がやわらいでくる。 「どうだ?」 マッサージを続けながら涼介が問うと、 「うん、平気。もう治った。」 啓介の元気な声が返った。 ドライヤーを切り、涼介が手を離すと、啓介は嬉しそうに言う。 「アニキ、サンキューvvやっぱりアニキはすごいぜ。」 「フフッ・・・。」 涼介は小さく笑いながら、また何かをたくらむように口端を歪めて、 「啓介。礼を言うのはまだ早いぜ?」 えっ・・・何?と驚く啓介の耳元で、涼介はそっと囁いた。 「もんで?ってさっき誘っただろう?」 かああーっと顔を赤くして、 「誘ってねー。」 啓介はぶんぶんと首を横に振りながら、必死で声を張り上げる。 しかし涼介にかなうハズもなく・・・ 「あっ・・・バカッ・・・どこ触ってんだよ?アニ・・キ・・・。」 「今日は隅から隅まで揉んでやるよ。」 「あん。・・・だめ・・だってば・・・。さっき・・やった・・と・・・こ・・。」 「全然足りない。もっと啓介が欲しい。」 「ああっ。・・・・んんっ・・・あっ・・・イイ・・・・・・。」 「啓介・・・愛してる。」 「うんっ・・・・あっ・・・俺・・も・・・。」 ―――2人の夜はまだまだ続くらしい・・・。 【END】 [後書き] うーん。新作第1弾がこんなことになってしまいました。どうしましょう?(←ど うって・・・)なんかもうダメダメですね。よく考えると過去に書いたイニDSSが 2作なので、これってまだ3作目なんですねー(←だからヘボでもいいってこ とにはなりませんです。ええ、決して)。 このSSのネタは、前に遼ちゃんと買い物行って歩き回ったときに、私がこむ ら返りを起こしたことで出来ました(笑)。そしてもう1つのサイトでもこむら返 りネタで1本書く予定だったり・・(←そしてもう書き終わってしまいました)。 このSSのタイトルは、「こむら返りを起こす」を英語で書いただけ・・・だった りします(死)。 ↑ というのが、当時の後書きでした。これ、同じネタで有栖川(ヒムアリ)バ ージョンもあるんです。でもこっちのが甘いですね(当社比)。ちなみにDバー ジョンは「家の中」、有栖川バージョンは「外」だったりします(まあ、外でイチ ャコラするには限界がありますからね/笑)。もし「こむら返り」を起こしたとき は、涼ちゃんの言葉を思い出してみて下さい。きっとお役に立ちますヨ!(笑) |