惚れたアイツは目でオトせ!(お題:眼鏡) 「茜?俺の話、ちゃんと聞いてる?」 「ああ、聞いてる聞いてる。」 「絶対嘘だ!」 「ああ?聞いてるっつってんだろ!?」 「だって目が嘘だって言ってるもん。」 「はぁ?目なんて見えねぇだろーがよ!?」 そう言って、御堂茜は掛けているサングラスを手でクイと軽く押し 上げてみせた。 「じゃあそれ外して!」 駄々を捏ねる子どものように言って、大は茜のサングラスに手を 伸ばす。 「あっ、おい、コラ!何しやがる!?」 慌ててサングラスを押さえる茜。 「だって、それ掛けてると茜の目が見えないから・・・何か不安にな るんだよ!!」 自分でも何を言っているのかよくわかっていないのか、大は混乱 した様子で瞳をうるうると潤ませながら茜をポカポカと殴りつけた。 「イテッ、イテェぞ、コラ!」 パシリと大の両手を掴み、そのまま拘束する。 しばらくして――― 両腕を動かせなくなった大は、少し落ち着いたのか俯いて今度は ピクリとも動かなくなった。 「大?」 耳元で優しく呼ぶ声に、大がゆっくりと顔を上げる。 その顔は、涙でグシャグシャになっていた。 「おまえ・・・何泣いてんだよ?」 意外なほど優しい声音で茜が問う。 しかし大は無言のまま首を振るだけ。 茜は大の涙を指でそっと拭ってやりながら、 「これ、外せばいいのか?」 とサングラスに手をかけながら言う。 その意外な言葉に、大は驚いたように大きく目を見開いて――― それからふんわりと幸せそうな笑みを浮かべながら頷いた。 茜はそんな大の現金な態度に苦笑しながら、大の耳元でわざと 甘く掠れた声で囁いてやる。 「そのかわり・・・俺がこれを外したら、もう手加減できねぇからな。」 「?」 不思議そうに見つめ返す大に、ニヤリと口端を歪めながら、 「口説きまくってやるから、覚悟しろよ?」 そう言って、茜はカラカラと楽しそうに笑うのだった。 大が茜に目でオトされるまで、あと少し――――。 【END】 [後書き] 『しなのに10のお題』の記念すべき(?)最初の更新は、「眼鏡」で した。やっぱり眼鏡=茜ちゃんかなぁ?と思ったのですが、サングラ スも眼鏡のうち・・ですよね?(汗)今回の内容の補足説明をさせて 頂きますと(←オイ)、茜ちゃん、サングラス越しに見ることで、今ま でなんとか理性を保っていたらしいです(笑)。この後、サングラスを 外した茜ちゃんはケダモノに・・・(←コラコラ)。目で、「お前(大)が 好きだ。欲しい。全部俺のモノにしたい。」云々と口説き続け、あっ という間に大君をオトしちゃうのでした(っつーか、そこまでちゃんと 書けよ?っていうツッコミが聞こえてきそうな気が・・・/滝汗)。ほん とは、茜ちゃんのサングラスを奪って掛けて、「どう?似合う?」とか 言ってる大君・・・みたいなほのぼの系(?)を書くつもりだったこと は秘密です(笑)。っつーか、これだとほのぼのを通り越してバカッ プルですかね?(苦笑)最後になりましたが、お題を下さった鉄様 に感謝の気持ちとこのSSを捧げます(もちろん返品も出来ますの でご安心下さい/笑)。 |