ねぇ、優しくしないで。 優しくされたら、俺は・・・俺は―――― 君の瞳に映る月 (お題:蒼い月) 「綺麗な月だなぁ、犬。」 「ワゥ!」 永田似園の自室の窓から、ふと空を見上げると、満月が見えた。 いや、本当は満月に近い月なのだろう。限りなくまん丸に近くて、 晧々と照っている―――月。 「何でかなぁ?こーんなに綺麗なのに、どこか淋しそうに見えるん だよなぁ。」 「ワゥ?」 しんみりとした鉄生の口調に、犬は不思議そうに主人の横顔を 見上げた。 「って、なんか俺ってば感傷的になってるってやつ?」 アハハと自嘲気味に呟けば、 「ふぅ〜ん、鉄生君ってばそんな難しい言葉知ってたんだ?」 ふいに目の前に現れる色男(注.変態だけど)。 「おっ、驚かすなよ、陵刀。来るならちゃんとドアから来いよな。」 「フフ。それは夜這いのお許しをもらったと思っていいのかな?」 「よっ、夜這い!?//// ちっ、違っ・・・・」 「じゃあ、次からはちゃんとドアから来るから♪」 「だから違うって言って・・・・・・・・ハー、もういいデス。」 いつもながら、陵刀に口で勝つのは無理らしい。 「で、鉄生君。さっきはどーして感傷的になってる・・・なんて言っ てたのかな?」 「いや、それは・・・あんまり月が綺麗だったからさ。」 「え?」 「だから、その・・・今夜の月があまりにも綺麗で、そのくせどこか 淋しそうで、さ。なんかガラにもなくそんなこと思ってたら、ふとさ っきの言葉が口をついて出てたっていうか・・・。」 珍しく歯切れの悪い鉄生。 その顔をジッと見つめていた陵刀は、ふとあることに気が付い た。 「ねぇ、鉄生君。なんか目、赤くない?」 「へ?」 慌てて両目を隠すように手を当てる鉄生の態度に、 (やっぱり泣いてたんだね?) 確信が深まる。 「ねぇ、鉄生君。君はあの月に、一体誰を見てるの?」 「え!?」 驚く鉄生の頬がうっすらと赤く染まっている。 (やっぱり当たり・・・か。) 「ねぇ、鉄生君。寂しいときは甘えてくれていいからね。君にな ら、僕の胸をいつでも貸してあげるよ。もちろんただでv」 「りょう・・とう・・・?」 「ね?」 そう言って優しく微笑む陵刀に、縋りつきたい衝動を必死に堪 えて。 鉄生は潤んだ瞳をもう1度、夜空の月へと向ける。 そして――― 「・・・・・サンキューv」 小さな呟きが、陵刀の胸にストンと落ちた。 (鉄生君・・・。) 君の瞳に映るのは、綺麗で残酷な――――蒼い月。 【END】 [後書き] すっ、すみません!『蒼い月』というとっても素敵なお題を頂きまし たのに、全く活かせなかったばかりか、意味のわからないものに なってしまいマシタ(汗)。一応最後の『蒼い月』というのは、陵刀 から見た月(=鉄生)→蒼い月(=切ない想いを反映した色)とい う、ちょっと説明なしでは「?」な意味があったりなかったり←オイ お題を拝見したときに、これはシリアス路線でしょ!と思ったまで は良かったのですが、皆様ご存知のとおり(?)紅月はシリアスが 苦手だったのです!<威張るな しっかしどーして陵鉄を書こうと すると、いつもいつもあの方の存在が邪魔をするのか(苦笑)。い つもながら、純粋な(?)陵鉄スキーの皆様には申し訳ない限りで す>< ん?そういう私も陵鉄スキーのはず・・よね?(汗)果たし てこのSSのCP表記は陵鉄でいいのか!?←誰に聞いてるんだ か・・・ 最後になりましたが、お題を下さった吟狐様、本当にあり がとうございましたvv中途半端なCPになってしまいましたが、よろ しかったら貰ってやって下さいませ(もちろん返品もオッケイです)。 |