気が付くと彼を目で追っている。 「どうしたの?坂本様?」 「なんでもないです」 「そう?」 ちょっとした仕草まで見ている。 別に見ようなんて思ってないのに。 「じゃ、本題に入るけどね……」 恋?こい?コイ? 「えっと……」 「秋良、どうなんだ?」 「秋良は好きな人いるのか?」 「「いたとしても会長じゃないよな!!?」」 とある日の放課後、何故か俺は亨と裕史郎に好きな人がいるかどうかを問い詰められていた。 「それは……」 こんなことになった原因はその日の昼休みに遡る―――ことになるらしい…… 「なぁ、亨」 「なに?」 「この頃秋良ちょっと変じゃないか?」 「うーん確かに……」 「なんかぼーっとしてるっていうか」 「物思いにふけってるっていうか」 「「………恋?」」 ―――っていうことらしい。 俺は丁度生徒会があったからわかんないんだけど。 「別に恋なんてしてないよ」 「「本当か!!?」」 「…………たぶん」 「なんだよたぶんって」 気が抜けたように裕史郎が呟く。 「だって……恋ってなんだかわからないっていうか……」 「「…………」」 なんかすごい呆れられてる気が…… 「まぁ秋良らしいって言えばらしいけど……」 「会長は好きなのか?」 「尊敬してないって言えばウソになるよ」 裕史郎の視線がちょっと痛い。 「それだけか?」 「たぶん……」 二人の視線が突き刺さってくるからつい目をそらしてしまう。 「「本当か?」」 「本当だよ」 「ならいいんだけど」 「じゃあ今日のところは引き下がるよ」 ん?今日のところは? ということは…… 「また聞かれるの?」 「秋良の様子がおかしければ」 「俺らは全力で秋良を魔の手から救いたいんだよ?」 「魔の手?」 「「そうだよ!!」」 「御鷹とか!!」 「会長とか!!」 「思い出すだけでもムカムカする」 「あいつらっ!!」 二人のいつもの姫オーラは完全に消え去り凄い形相で御鷹と有定会長の文句を言っている。 時計を見るともうすぐ生徒会がはじまる時間だった。 「じゃあそろそろ生徒会に行ってくるから」 「え……ちょ、秋良!?」 「襲われないように気をつけるんだぞ!!」 なんで襲われるのかよくわからないんだけどこれ以上もたもたしていると生徒会に遅れそうだ。 「わかったよ」 二人には悪いけど、軽く流して急いで生徒会室に向かった。 「すみません、遅れましたか?」 「んー?丁度だよ」 「今日はどうしたんだ?」 「ちょっと亨と裕史郎と話してて……」 「またあいつらか……」 「しょうもないねーあの姫達は」 この二人からしても亨と裕史郎は好ましい存在ではないらしい。 「俺が悪いんですから」 「いや、秋良は悪くない。悪いとしたらあいつらだ」 「そ、そうかな?」 「そうだ」 「まぁでも坂本様が言うならいいんだけど」 確かに厄介な人達なのかもしれない。 「それよりほら、生徒会しましょう?」 「そうだね」 「秋良が言うなら……」 ――――――――― 「っていうことで今日の生徒会は終了」 「さぁ、秋良一緒に帰r「坂本様は残ってね」 「………はい」 御鷹が……ドス黒いオーラを…… 「じゃあまた明日一緒に帰ろうな」 「う、うん……また明日ね」 御鷹や他の役員の人達が生徒会室から出て室内には俺と会長だけになった。 「坂本様、ちょっとこっち来てくれる?」 「は、はい」 心なしか心拍数が上がる。 「ねぇ坂本様、」 「はい?」 「……可愛い」 「へ?」 いきなり会長に抱きすくめられる。 「え?ちょ、えと……会長?」 「坂本様、可愛い」 「…………」 頬に熱が集まる。 「ねぇ、坂本様、顔上げて?」 ようやく解放されたけど恥ずかしすぎて顔が上げられない。 「えっと……ど、どうして?」 恥ずかしすぎて口から出た言葉はそんな言葉。 「愚問だね。そんなの……」 耳に息がかかるほど唇を近くに寄せられて 「好きだからに決まってるでしょ?」 たった一言。 でもその一言だけで心臓が壊れそうな程音をたてて暴れだす。 「また明日会おうね、坂本様」 また明日、その言葉の優しさに心拍数がまた上がる。 「し、失礼しましたっ」 これ以上彼といると心臓が壊れそうで、もうキャパオーバーで、生徒会室から駆け出した。 「………恋」 まだ心臓はうるさく脈をうっている。 「恋なのかな……」 彼の言葉を、温もりを、顔を思い出すと静まりかけていた心臓がまたうるさくなる。 「また……明日」 その響きが胸にスッと染み渡る。 「恋、だといいな……」 ☆オマケ☆ 〜次の日〜 「おはよう坂本様」 「あ、う、えと、その……お、おはようございます」 (((盗られたっ……!!!))) |