『この胸に秘めた思いを君に』





 とある休日―――
 御鷹と秋良は2人で街をぶらついていた。
 誘ったのは、もちろん御鷹の方だ。
 邪魔者(約3名―亨・裕史郎・有定―)に気付かれないように、緻密な計画を
立て、練りに練った末、ようやく成立した2人っきりの外出=デートであった(あ
くまで御鷹視点)。
 そしてこの日、御鷹は1つの大きな決意を胸に秘めていた……。



 その日の夕刻―――
 人気のなくなった公園―秋良の家に程近いところにある―に秋良をうまく誘
い込んだ御鷹は、ベンチに並んで腰かけるなり、ついに胸に秘めた思いを告げ
るべく口を開いた。
「秋良…。」
「ん?何、統威。」
「わ、私は秋良のことが好………」

『あーきらっ!!!!!!』

 不意に割って入った陽気な声。
 そしてベンチ越しに背後から秋良の首に絡みつく両腕。
「えっ?はっ、春兄!?」
 首を少しだけ後ろに向けながら、秋良が驚きに目を見開く。
「うん、当ったり〜♪秋良も今帰りかい?奇遇だね、こんなところで会えるなん
て……これってやっぱり運命かも☆」
「やだな、春兄ってば。大げさなんだから…。」
 すっかり御鷹の存在を無視してハイテンションに喋り続ける春海と、それに苦
笑交じりに返す秋良。
 そんな2人を呆然と見つめる御鷹が、自分の告白が不発に終わったことに気
付くのは、それから数分後―秋良(+春海)と別れてから―だった……。



 その日―――
 1日中、御鷹と秋良の後ろから、不審人物もといサングラスと帽子でキラキラ
な美貌を隠した男が、ス○ーカーのごとくつけていたことを、もちろん御鷹と秋
良は知る由もなかった……。
 邪魔者は、どうやら3人だけではなかったらしい――――。





                                           【END】




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