『罰ゲーム』(お題:それでも君は微笑む)









亨なんかとゲーム、するんじゃなかった・・・・。



  『罰ゲーム』





「秋良、観念してコレ、着ろよ?」


亨とゲームをしてオレは見事に負けた。
別に、負けた事に関してはそうダメージはない。
負け惜しみに聞えるだろうが、負けた事はどうでもいい。
負けた事より、このゲームの罰が・・・・嫌なんだ・・・・。




「う゛・・・・ど、どうしても着なきゃ駄目なの・・・・?」



「ダーメ。約束しただろ?」


罰ゲームの内容は、「負けた方が勝った方のいう事を1つ聞く」というありきたりな
もの。
ありきたりなものだからこそ、内容が豊富にありすぎて負けた方には恐怖感しか
与えない。

そして、今回亨が出した罰ゲームの内容は・・・・・





「はい、オレ達が着た姫衣装な。」







姫衣装の着用・・・・だった。








「はぁ・・・・オレなんかが着ても似合わないのに・・・・。」



亨と裕史郎から着方を教えてもらって、着替えている最中の独り言が虚しく響く。
罰ゲーム付きの勝負を了承したのは自分なのだ、いい加減腹を括らないと。












「お〜、やっぱり似合うな、秋良。可愛いじゃん!」

君達程じゃないよ。



「そんなことないない、似合ってるって。」


そんなに直視されると・・・凄く恥ずかしいんですけど・・・。

亨のあまりにものはしゃぎ様に、実琴君はおろか、裕史郎にまで呆れられている。
そんなにオレの姫姿見たかったのかな、亨・・・・。




「兎に角、そんなに表情硬くすんなって。ほら、笑った笑った。」

自分の顔を指しながらニッコリ微笑む亨。
やっぱりこうして見ると亨は綺麗だなって思う、オレなんかよりずっと・・・・。


でも、そんなオレを可愛いとか・・・まぁオレ男なんだけど・・・、・・・そう言ってくれる
亨の言葉が凄く嬉しくて。
今まで平凡とか言われたり、春兄と比べられてきたから、オレをオレとして見てく
れる人は少なくて・・・・。
でも、オレの眼の前に居る亨はそんなことはない。




「秋良?」




亨は、オレ自身を見てくれる。



「オレ、平凡でよかったかも・・・・。」



「何言ってんだよ、秋良は平凡なんかじゃないよ。だって、こんなにも綺麗で、癒
しオーラ放ってんだからさ。」






姫衣装を着させられたのは何とも言えないけど、亨が笑ってくれるなら姫衣装も
悪くないかな。

そう思うと、自然と笑みが零れて来た・・・。




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「なぁ四方谷。」

「・・・何だよ、実琴。」

「オレ等ってさぁ・・・・邪魔者、なのか?」

「・・・・あーもー、イチャつくなら他の場所でやれっての!!」

「・・・・・邪魔者、なんだな・・・・。」


オレ達の存在にも気付いて欲しいな、とオレは四方谷の後を追う前に、一瞬だけ
坂本様に目線を送った・・・・・。








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