騎士(ナイト)の誓い






 最近2人っきりになると、よく言われる言葉がある。

「坂本は、可愛いなvv」

 そのたびに、心臓が音を立てて跳ね上がり、体温が急上昇する。
 特に顔に熱が集まっていくのが自分でも感じられて。
 きっと今、自分は真っ赤な顔をしているのだろうな…と思うと、恥ず
かしくて逃げ出してしまいたくなる。
 だいたいどうして彼は、いつもそんなことを言うのだろう?




 そして今日も―――
「坂本…。」
「何?御鷹君。」
「…………」
「…………」
「…………」
「?」
 見つめ合うこと数秒。
 身長差のせいで、見上げている状態の秋良が、いいかげん首が痛
いなぁと感じ始めたとき、ようやく御鷹が口を開いた。
「いや、その…なんだ。すまない、あまりに坂本が可愛い表情(かお)
をしていたので、言うべきことをすっかり忘れてしまったようだ…。」
「…はい?」
 理解不能な御鷹の発言に、秋良は『?』マークを頭上に10個くらい
飛ばしながら、御鷹を見つめ返した。
(ウッ…だからそういう顔が可愛いと言っているのだが。自覚のない
あたりが坂本らしいと言うべきか…。しかしこんな無防備にいつも可
愛い顔を見せていては、坂本の身がいつ危険にさらされてもおかし
くない。こうなったら私が―――)
「あのぅ、御鷹君?」
 ジーッと秋良を見つめたまま動かない御鷹を心配して、おそるおそ
る声をかける秋良。
 そのとき―――
 突然、御鷹が秋良の両肩をガシッと掴んだ。
「うわっ!?」
 驚く秋良もおかまいなしに、真剣な眼差しで見つめ―――
「私が君の騎士(ナイト)になるからな!」
 きっぱりと言い切る御鷹だった……。
 さらに『?』マークを頭上に増やしながら、完全に機能停止(フリー
ズ)する秋良。
 そんな秋良が見えていないのか、自分の世界に入りきっているだ
けなのかは定かではないが、御鷹はさらに秋良をぎゅっと抱きしめ、
「安心して全てを私に任せてくれ。君を守るためなら、私は命を賭け
ると誓おう!」
 熱く語り続けるのだった。


 っつーか、RPGかなんかと間違ってんじゃねぇのか!?御鷹…。
(↑誰のツッコミ?/笑)






                                     【END】










※このお話は
、まだ御鷹と秋良がお互いを名前呼びしていなかった
頃に書いたものです。違和感があるかと思いますが、何卒ご了承下
さいませ。




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