傍にいる!?





某日某所。
怪しげな場所で、怪しげな会合が開かれていた。

「さて、ここに居る者の中にもこの疑問を持った者も居るだろう。否! 居なければ可笑しいのだ!」
何をいきなり言いやがると思うだろうが、いつでもなぜか熱血な彼は拳を高々と挙げて訴える。

「この『坂本様を心安らかに見守る会』発足以来。数々の疑問を、時に迅速に。時に投げやりに。時に
涙をかみ締めながら解決してきた。つい先日も、坂本様が授業中に睡眠を取られていた理由を、我々
は涙を流しながらも納得した」

どこからともなくすすり泣く声が響く。

「坂本様が幸せならば、有定前会長が相手でも…すまない、脱線した。ともかく! 今回の議題はこれ
だ!」

なぜかスポットライトを浴びせられたホワイトボードはキラキラと輝いていた。
書かれているであろう字は、反射して全く見えない。
「会長、反射して見えません」
「おお。すまない、照度を落してくれ」
「ういーす」

一度照明を消し、先ほどより照度を落して再度ホワイトボードを照らすと、今度こそ書かれている字が
見えた。

「河野、四方谷両姫様方は良いだろう。坂本様もご友人として認めていらっしゃる。有定会長は悔しい
が恋人だからしかたない。だがしかし!」
バン!
ホワイトボードを叩く音が室内に木霊する。

「なぜ! ミコっちゃんは『実琴君』なのか!」
「実証検分のため、お手元の冊子をごらんください。ぷりぷり第1巻156ページのコピーです」

ぱらぱらと冊子をめくる音が一斉にする。

なおも暑苦しく語り続けているのがこの『坂本様を心安らかに見守る会』略して『見会』の第一期会長
である。
ここで副会長らしき男が、会長の頭を鈍器で殴りつけ沈黙させた。
誰一人として驚かないので、いつもの事なのだろう。

「これに関しては、周りが豊と呼びづらいので実琴と呼んでいる説が有力ですが。これで納得のいか
ない面々がいらっしゃいましたので、同じクラス代表に調べていただきました」

「どうも、同じクラス代表です。えー坂本様からじかにお聞きしたところ」

『え?そういえば、何でだろう?』
態々テープレコーダーで取っていた回答が流れる。
ざわりと室内がざわめく。

「だそうです」

秋良の柔らかい声にほんわかしていた空気を打破したのは、鈍器により沈黙させられていた会長だ
った。

「休日返上で調べあげろー!!!!」
「煩いです」
再び鈍器により沈黙。
会長としての威厳は無いようだ。

「この件に付きましては『坂本様を御守りし隊』との意見交換により『黙認』となりましたので、周知願
います。さて、続きまして...」

事務的な言葉が続き、次の会合の日時が決定しても会長は沈黙したままである。


そんなこんなで、君の傍にさりげなくいたりする(一部)暑苦しい集団。
頑張れ坂本様を心安らかに見守る会!




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