(後は十代の反応を待つばかり…。) 『試されるその忍耐 2』 今まで自ら行動を起こして、起こして、起こし続けてきた三沢は、初めて受身的 な立場になった。 言葉だけでは壊せなかった壁を、『キス』という行動でついに打ち破ったのだ。 後は十代がどんな反応を返してくるのか――― それによって、三沢の次の行動も決まってくる。 (まあどんな反応を返してこようと、『十代をオトす』という最終結果だけは、決まっ ているけどね…。) ちなみに、三沢による『十代の反応予想ベスト3』は、こうだ。 1.いつもと変わらない(なかったことになっている) 2.目が泳ぐ(必死で気にしないフリをしつつも、どこかぎこちない) 3.避けられる(心の整理がつかず、顔を合わせられない) (さーて、どれかなぁ?) フフフと1人自室で怪しい笑みを浮かべる三沢。 しかし、三沢の考えは甘かった。 十代は理論派の三沢が測れるようなレベルの相手ではなかったのである…。 三沢が十代にキスをしてから3日後――― 事件は唐突に、デュエル・アカデミアの廊下で起こった。 「おいっ、三沢!」 「ん?」 「聞きたいことがある。」 「じゅ、十代…。な、何、かな?」 「何で俺にキ、キス…なんか、したんだ!?」 「っ!?」 十代はこともあろうに、公衆の面前で問いただすという暴挙に出たのである。 さすがの三沢も、想像だにしない十代の行動に驚きを隠せない。 「なあ、何でだ!?」 さらに畳みかけるように問いながら、十代が詰め寄ってくる。 そうこうするうちに、周りのざわめきがどんどん大きくなってきて――― いたたまれなくなった三沢は、心の中でそっと白旗を揚げた。 (十代…やっぱり君には敵わない。この勝負、俺の負けだよ。) その後――― 十代の腕を引っ張りながら、廊下を疾走する三沢の姿があったという……。 |