幸せな時間(とき)






 肌を合わせた後、いつもの如く訪れる倦怠感に身を任せ、百介は
浅い眠りの中にいた。
 現実と夢の間をフワフワと漂い、行き来する、不思議に心地良い
感覚。
「百介さん・・・。」
 その傍らで、又市は愛しい人の髪をそっと撫でていた。
 幸せな時間(とき)を過ごし、幸せなはずのその表情は、何故か
どこか遠くを見ていて―――
 次の瞬間、苦しげに眉が寄せられた。
「ねェ、先生・・・。今、先生の中、奴(やつがれ)はどのくらいを占め
ているンでやしょうねェ?」
 聞かれることはないとわかっているから、思わず洩らしたその本
音。
 答えなど、永遠に得られることはない・・・はずだった。
 はずだったのに―――
 唐突に、眠っていたはずの百介の口角が上がった。
 かと思ったら、目を開き、クスクスという笑い声を上げながら、身を
起こす。
 その間、又市は一言も発しなかった。
 否。
 発することが出来なかった。
 あるまじきことに、又市はあんぐりと口を開け、完全に呆けていた
のである。
「又市さん?」
「・・・・・・・」
「又市さんっ!」
「・・・・・・・」
「まーたーいーちさんっっ!!」
「・・・・・ハッ!?・・・あっ、せせ先生。いっ、いい一体ェ何時から気
が付いていなさったンでェ?」
「いえ、最初は本当に眠っていたんですよ。その・・・又市さんが髪
を触ってらしたでしょう?その手の感触が気持ち良くて、いつの間
にかうつらうつらと・・・。ただ、声をかけて下さる少ぉーしばかり前
に、意識は取り戻していたんです。又市さんが撫でて下さっている
のが嬉しくて、目は開きませんでしたけど。」
 にっこり笑ってそう言う、邪気のない百介の様に、又市はそっと
ため息を吐いた。
 そして、ポツリと一言。
「参りやした。」
 何が嬉しいのか、百介は『ウフフv』と笑ってから、不意に又市に
抱き付いた。
 受け止めた又市の手が百介の背に回される。
 暫くして―――
 又市の耳元で百介がそっと囁いた。

『全部・・です。私の中にはもう貴方しかいません。』



 その後、百介が朝まで寝かせてもらえなかったことは言うまでも
ない―――。






                                   【おわり】








[反省文]
あわあわあわわっ・・・・や、やってしまいました(遠い目)。本当は
巷説だけは書くまいと心に固く誓っていたんです。だって、紅月は
アニメしか見ていないんですから(汗)。原作を読んでもいない奴が
SS書くなんて、邪道ですよね(京○先生、ごめんなさい)。
当然、話し方とかも適当です(謝)。このSSはあくまでアニメ版の2
人であるということだけはご理解下さいませ(というか、果たして読
んで下さる方がいらっしゃるのかどうか・・・/沈没)。
アニメ版の又さんのビジュアル、紅月的にはスッゴク好きです(笑)
どんなにちっこくても(?)、又さんは攻ですからね!(オイ)
そしてそして、百介さんが激可愛いのよぉ〜(ジタジタ)。毎週アニ
メを見ながら、「よしっ!又百vv」と変な気合いを感じています(←
この人頭沸いてますよ〜)。
こんな邪道かつ短文ですが、素敵ラブラブ又百をお書きになってい
る尊敬すべきA.S.様(イニシャルは姓→名の順)に、こっそりと捧
げさせて頂きます(本当にこっそりとこっそりと←殴)。
って、反省文のがSSより長くなってるような・・・?(滝汗)
色んな意味で、申し訳ございませんでしたー(逃)。




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