心の隙間に君の愛 「ねぇ、鉄生クン。好きだよ。」 ―――ああ。 「鉄生クン、君が欲しいんだ。」 ―――ヤダ。 「ねぇ、君は・・・誰かを待っているのかい?」 ―――待っ・・てなんて・・・いねぇよ。 「本当に?」 ―――ああ、俺は誰も待ってなんかいない。 「じゃあ、僕が嫌い?」 ―――いや。 「僕が本気だって、わかってるよね?」 ―――まあ、毎日毎日それだけ言われりゃーな。 「愛してるよ。」 ―――!?・・・それ不意打ち。ずりぃぞ、そういうの。 「フフ。照れてる顔も可愛いねv食べちゃいたいくらい。」 ―――あのなぁ、「食べる」とかすぐそういうこと言うなよ。お前のこと知 らない奴が聞いたら、ぜってぇ誤解するって! 「そう?でも誤解して欲しい人には、全然効き目がないみたいだけど?」 ―――ハハッ。 「ねぇ、鉄生クン。僕は君と出会ってから、ずいぶん我慢強くなったと思 うんだ。」 ―――へぇ。 「でも、もう限界。」 ―――えっ? 「君にはいくら言葉で言っても伝わらないみたいだしね。」 ―――? 「こうなったら実力行使しかないよね♪」 ―――まさか!? 陵刀が鉄生ににじり寄る。 退く鉄生。さらに詰め寄る陵刀。 ―――と。 ドンッと鉄生の背中が壁にぶつかる。 「フフフ、もう逃げられないよ?」 「・・・・・・」 「ほら、つっかまえた〜♪」 「・・・・・・」 「あれ?抵抗しないの?」 「・・・・・・」 俯いて何も言葉を発しない鉄生を訝しく思って、陵刀がそっと下から顔を 覗き込むと――― 鉄生が泣いていた。 声も出さずに、静かに静かにただ涙を流していた。 「鉄・・生・・・くん?」 訳もわからずに、優しく鉄生を抱きしめ、そっと指で涙を拭ってやる。 しばらく抱き合ったままでいると、不意に鉄生が顔を上げて、陵刀を見た。 その顔は、まだ少しだけ目元が潤んでいたけれど、もういつも通りの晴れ やかなもので、陵刀はホッとする。 「ごめん。」 鉄生が何に対して謝っているのかわからないままに、 「ううん。」 と陵刀は首を振った。 そして――― 2人は自然にキスを交わした。 触れるだけの優しいキスを何度も何度も・・・。 唇が離れたとき、 「愛してる。」 そんな陵刀の囁きに、 「俺も・・・好き。」 鉄生が精一杯の告白をして。 それが2人が両想いになった瞬間だった――――。 それから数ヶ月――― 2人は順調に愛を育んでいた・・・かに見えた。 しかし――― ある日届いた1通の手紙。 開いた瞬間、鉄生の笑顔が曇る。 『来週には1度日本に帰ります。』 「遅ぇよ。」 切ない呟きは、陵刀の唇に掻き消され、声にはならなかった・・・・・。 【END】 [後書き] ゲフンゲフンッ・・・。色んな意味ですみません^^; 久々に陵鉄を書いてみたら・・・エセシリアスっぽくなってしまいマシタ(汗) どうも最近の紅月は、陵鉄を書こうとすると賀集師匠の存在が気になるら しく、いまいち陵鉄になり切れないようです・・・(涙)。 純粋な(?)陵鉄ファンの皆様、ごめんなさい>< いや、というか・・・紅月 も陵鉄スキーなんですけどね(苦笑)。 実はこのSSは、最後の鉄生君の『遅ぇよ。』という台詞が書きたいがため に書きました(←それだけかい!?)。ラストシーンから書き始めたのは、 結構久しぶりかもです。 CPの分類的には、これってどうなるんでしょうかね?陵鉄と表記しちゃい ましたけど、ほんとは陵→鉄→賀・・・とか?うわぁ〜っ、救いがねぇ〜〜〜 っっ!!(←自分で言いながら引きました、今/爆) でも多分ほんとは賀鉄なのかもしれないです。って、それじゃー陵刀セン セがあまりに可哀相だ(汗)。すっ、すみません。決して陵刀先生ファンの 皆様にケンカを売ってるわけじゃありませんよ?信じて下さい!! そんなこんなで、久々のWL更新でした〜(逃)。ご感想など(ちょっと恐い けど)お待ちしています!よろしくお願いします>< 追伸?→このSSは、以前書いた賀鉄SS『くすぶる想い』の後・・・という 設定で書いています。よろしかったら、そちらを読んでから読んでみて下 さいね〜。鉄生君の切ない気持ちがちょっとだけわかる・・・かもしれませ ん(苦笑)。そしてさらに、以前書いた陵鉄SS『君の横顔』とも繋がってい ることが判明しました!(←オイ) で、結論としましては、『くすぶる想い』→『君の横顔』→『心の隙間に君の 愛』(このSS)という順番で読んで頂くと、話が繋がるかと思います(やや こしくって申し訳ありません)。もちろんこのSS単品で読んで頂いても何の 問題もありませんです、はい。 |